こんにちは、松村です。
私が不動産屋としての独立を検討されている方から、よくお受けする質問の一つに「不動産屋として起業して成功する確率って、どれくらいのものなんですかね。」というものがあります。
これ、不動産屋での起業を検討されている方なら、おそらく、ほぼ、みなさん、気になる点なのではないでしょうか。
そこで、本日は不動産屋での起業成功率についてお話してみたいと思います。
合わせて起業成功率を高めるためにやるべきことなどについても紹介させて頂きますので興味のある方は是非とも最後までご覧になって下さいね。
それでは早速、行ってみましょう。
不動産屋での起業成功率は何パーセント?
ズバリ結論から申し上げたいところなのですが、不動産屋での起業成功率がどれくらいかを考える上で最低限、押さえておかなければならない前提があります。
それは何をもってして「不動産屋での起業が成功したとするのか」ということです。
ここが定まっていない限り起業成功率を検討しようもありませんので。
この点については色々な考え方があると思うのですが、ここでは「起業から3年経過時点でサラリーマン時代より年収が上がっている」ということをもって「不動産屋での起業が成功した」ものと定義することといたします。
サラリーマン時代の年収を超えればご本人的にも「まあ、起業して良かったのかな」と感じることができるでしょうからね。
で、この前提に立って考えた時の不動産屋での起業成功率ですが・・・
私個人の肌感覚としては60%~70%程度なのではないかなと考えています。
ごめんなさい、客観的なデータが存在しないため、あくまで私の肌感覚でのお話になります。
でも、かれこれ20年以上も不動産の業界に身を置き、また、同時に不動産屋として独立された多くの方から、様々な形でご相談を受けてきた経験に基づいてお話していますので、それほど見当はずれな数字では、ないだろうと考えています。
ですので不動産屋として起業することを検討されている方は大体、その程度という感覚で捉えていただければと思います。
ちなみにうちのクライアント(過去のクライアントも含む)で見る限り、起業から5年経過時点でサラリーマン時代の年収の2倍以上を手にされている方の割合は全体の4割弱程度です。結構、夢のある話ですよね。サラリーマンのまま、5年で年収の2倍以上を達成するというのは至難の業だと思いますので。
この起業成功率は高いのか低いのか
では、この60%~70%程度という不動産屋の起業成功率というのは他の業種と比べて高いのでしょうか。
それとも低いのでしょうか。
この点については、おそらく、結構、高いということになると思います。
中小企業庁の公表しているデータによると一般的な中小企業の5年生存率は40%程度とされており、仮に潰れずに生き残っている企業の経営者全てが上記の定義に照らして成功していると言える状況であったとしても、なお、不動産屋として起業した人の成功率の方が高いということになるからです。
もちろん起業成功率が高いと言っても3人に1人ぐらいの人がサラリーマン時代より年収が下がってしまっているわけですから気軽に起業をおすすめすることはできません。
しかしながら、事前にしっかりとした準備をしていれば成功できる確率はかなり高くなることと思いますので、あまり怖がり過ぎずに、チャレンジして頂きたい思います。
なぜ、不動産屋での起業成功率は高いのか
では、なぜ、不動産屋での起業成功率は他の業種に比べて高くなっているのでしょうか。
この点については、まず間違いなく、異常な顧客単価の高さと利益率の高さが影響しているものと考えられます。
不動産屋の場合、たとえば3000万円の不動産の売買契約を媒介した場合にお客さんから受け取ることができる手数料は96万円(※報酬規程に定める上限の金額・消費税別)にもなります。
しかも、これは売主、買主のどちらか片方の媒介をした場合の話で、これが双方の媒介をした場合であれば、その倍の192万円もの手数料を受け取ることができるわけです。
その上、仲介ビジネスに限って言えば、そもそも原価がありませんので、手数料の大半が利益となります。
このような好条件が揃っていることを考えれば、不動産屋での起業成功率が高いのは、ある意味、当然のことと言えると思います。
一般的に各種ビジネスモデルの儲けやすさは顧客単価・利益率・リピート率の高さによって決まると言われています。不動産屋の仲介ビジネスの場合、リピート率は決して高くありませんが、それを補ってあまりあるくらい顧客単価と利益率が高いため起業成功率が高くなっているわけです。
起業成功率を高めるためにやるべきこと
以上のことより、不動産屋での起業成功率が高いということについては、大体、ご納得頂けたかと思うのですが、それでもなお、不動産屋として起業して失敗してしまう人が3人に1人ぐらいはいるというのも、また紛れもない事実です。
そこでここでは、失敗する確率を少しでも避けて起業成功率を高めるためにやるべきことを簡単にお伝えしておきたいと思います。
やっておいた方がいいことは色々とありますが、特に以下の5つだけは手抜かりなく、しっかりとやるようにして下さい。
集客戦略の明確化
起業成功率を高めるためにやるべきことの一つ目は集客戦略の明確化です。
集客戦略が曖昧なままだと見込み客に自社の競合他社との違いが伝わらず、ホームページを作ろうとチラシをまこうと、まともに集客できるようにはならないからです。
集客戦略などと言うと難しく感じてしまうかもしれませんが、要するに、どこの、誰に対して、どんなサービスを提供するのかということを言っているのだと考えて下さい。
たとえば駅前に10軒の不動産屋さんが軒を連ねていたとしましょう。
他の不動産屋さんが何の集客戦略も持たない中であなたの不動産屋さんだけが「中古マンション売買専門」と打ち出していたとしたら、戸建てや土地の売買を考えているお客さんには見向きもされなくなる代わりに、中古マンションの売買を考えているお客さんに選ばれる確率は飛躍的に高くなるはずですよね。
これが私の言っているところの集客戦略の明確化です。
集客戦略の明確化ができれば競合他社と単純比較されることがなくなる分、後発組である弱者であってもグッと集客が簡単になります。
集客のための具体的な戦術としてホームページを作ってもチラシをまいても、まともに効果を発揮してくれるようになるのです。
集客でムダに苦労したくないのなら集客戦略の明確化を必ずやるようにして下さい。
なお、集客戦略については、チラシやホームページ等の全ての集客媒体の中で確実に表現するようにして下さい。
たとえば上記の例のように「中古マンション売買専門」という集客戦略でやるのであれば、すべての集客媒体にわかりやすく「中古マンション売買専門」と明記するということです。
集客戦略を明確に定めても、それが見込み客に伝わっていなければ何の意味もありませんので。
紹介の依頼
不動産屋として起業することになったら、なるべく早い時期に親戚・友人・知人などにお客さんの紹介をお願いして回って下さい。
信用が非常に重要となる不動産屋のビジネスにおいて他人の信用を利用できる紹介こそ、最強の集客方法だからです。
これは自分に置き換えて考えてもらったら想像がつく話だと思うのですが、紹介のお客さんは基本的に競合他社に浮気をしません。
また、最初から、ある程度、こちらのことを信用してくれているため、成約までの期間は短くなる傾向にあります。
競合他社に浮気をしない上に成約までの期間が短い。
こんなに不動産屋にとって都合のいいお客さんを得られる集客方法、他にはないですよね。
だから、お客さんの紹介の依頼に注力すべきなのです。
特に起業したばかりの通常の集客が難しい時期には本当に重要な集客方法になります。
是非とも全力で取り組んで下さいね。
なお、紹介を「お願いするようなものではなく、真面目にビジネスをやっていれば、やがて自然に発生するものなのでは」と考えている人がいますが、それは違います。
もちろん、自然に発生することもないわけではありませんが、頼まれてもいないのにお客さんを紹介してくれるのは、よほど、面倒見のいい人だけです。
これではあまりにもったいない話ですよね。
毎月のようにお客さんの紹介があるような理想的な状況を目指して積極的にお客さんの紹介をお願いして回りましょう。
紹介は自ら意図的に発生させるものという意識を持ちましょう。紹介の発生率が全く変わってくるはずです。
資金準備
不動産屋として起業して成功するためには、当然、ある程度の時間がかかります。
入念に下準備をしてきた人で半年程度、一般的には2年~3年程度といったところでしょうか。
つまり、その間は大体、入ってくるものより出てくるものの方が多いという状況が続くわけで、その期間を凌ぎ切れるだけの資金的な準備が必要になるということです。
具体的には開業初期費用以外に事業資金+生活費を最低でも6ヶ月分、理想を言えば1年分は用意するようにして下さい。
(起業して成功するための期間を一般的には2年~3年程度としておきながら、準備する資金の量を上記の水準としているのは、その間、全く収入がないわけではないからです。
また、1年分の資金量を使い果たしてしまうというのは、集客等、どこかの点で大きく間違っている可能性が高く、その時点で一旦、仕切りなおす方がいいものと考えます。)
ちなみに私が不動産屋として起業した際には、この点に関しての準備が全くできていなかったため、開業した翌々月ぐらいからは、こっそり深夜アルバイトにでかけるような状態に陥ってしまいました。(笑)
あなたは、こんなみっともないことにならないよう、しっかりと必要な資金の準備を行った上で起業するようにして下さい。
資金準備については日本政策金融公庫などから融資を受けることを検討されても良いでしょう。自力での資金準備にこだわりすぎて起業の機会を逃すことがないよう、十分、注意して下さい。
起業場所の検討
不動産屋としての起業成功率を高めるためには起業場所の検討というのも非常に重要なポイントとなります。
不動産屋の提供するサービスに対する需要が低すぎたり、需要がないわけではないものの顧客単価が低すぎたりするような地域で起業しても成功することは難しいからです。
たとえば東京23区内であれば物件価格が1億円を超えるなどということもざらにあるでしょう。
物件価格1億円なら片手でも受け取ることができる仲介手数料は約300万円です。
若手社員の年収のような金額ですよね。
しかし、地方で300万円の仲介手数料を受け取ろうと思えば一体、何件の仲介取引をやらなければ、ならないのではないでしょうか。
5件?6件?
いや、下手をすれば10件程度の取引をしなければならないことだってあるでしょう。
もちろん、都会の方が競合が多いといったことはあるので単純比較はできません。
しかし、その点を差し引いたとしても地方より圧倒的に稼ぎやすいことは疑う余地がありませんよね。
だから、起業する場所については単に馴染みがある場所だからなどといった理由で安易に決めてしまうことがないよう、十分、注意して下さい。
どうしても顧客単価が低い地域で起業したい場合には、たとえばリフォーム業を兼業するなど、顧客単価を高めるための工夫について事前検討することが必要です。行き当たりばったりにならないように!
営業力強化
言うまでもないことですが、たとえ集客ができても成約できなければ、どうにもなりません。
しっかりと成約できるよう営業力の強化に努めましょう。
一般的に営業力と言うとお客さんを説得するための「話す力」のことを言うものと考えている人が多いと思いますが、私はむしろ、お客さんの要望を的確に把握するための「聞く力」のことだと考えています。
お客さんの要望を的確に把握することができれば、後は、その要望に合う物件を提案するだけで、お客さんは勝手に成約してくれるものだからです。
お客さんの要望に合わない物件を説得して買わせることなどできませんし、できたとしても後々クレームになるだけなので、説得して買わせるなんてこと絶対にしないようにして下さい。
ちなみに「聞く力」というのは要するに、こちらから投げかける質問の質の高さとバリエーションの豊富さのことです。
いい質問を投げかけていけば、お客さんは必ず、自分の要望を口にしてくれますので。
お客さんの要望を100%把握できるよう、効果的な質問をするための工夫を重ねて下さい。
私がこれまで多くの営業マンを見てきた経験から言っても、安定的に成果を上げ続けることができるのは「聞く力」のある営業マンです。「話す力」に自信のある方もそれにはあまり頼らず、「聞く力」を磨くことに尽力して下さい。
まとめ
- 不動産屋での起業成功率は60%~70%程度と考えられる。
- 不動産屋での起業成功率が高い理由は異常な顧客単価の高さと利益率の高さである。
- 不動産屋での起業成功率を高めるためにやるべきことは次の5つ。
①集客戦略の明確化
②紹介の依頼
③資金準備
④起業場所の検討
⑤営業力強化
起業成功率については、統計資料などに基づかない推測のレベルの話になってしまいましたが、それほど、事実と乖離していないと思います。
是非、参考にして下さいね。
以上、今回は「不動産屋での起業成功率と成功率アップのためにやるべき5つのこと」というテーマでお送り致しました。