宅建とって、いきなり独立は可能か?根拠を持って持論を紹介するよ!

こんにちは松村です。

パソコン操作中にカーソルが行方不明になり、焦りました。

そろそろ買い替え時でしょうか?

さて本日は「宅建資格をとって、いきなり独立することは可能か?」というテーマでお送りいたします。

私のところには毎日のように本やメルマガの読者の方から、不動産屋としての独立開業についてのご質問が届くのですが、その中でも目立って多いのが、このご質問ですね。

本やメルマガの中では既にこの点に関する私の考えを何度もお伝えしているのですが、それでも質問が絶えない。

そこで私の考えを明らかにすべく、あらためて当サイトでも、このテーマを取り上げてみようと考えたわけです。

宅建をとって、いきなり独立することを考える人にとっては少なからず参考になる内容になっていると思いますので、お時間の許す方は是非とも最後までご覧になって下さい。

それでは早速、行ってみましょう。

宅建をとって、いきなり独立することは可能か?

まずはズバリ結論から申し上げます。

宅建をとっていきなり独立すること、もう少し詳しく言いますと、宅建をとって不動産業界未経験の状態でいきなり独立して食べていくことは十分、可能です。

そう考える根拠は以下の2つになります。

①不動産屋の実務はそんなに難しいものではない

不動産屋の実務は外から見ると専門性が高く、習得するのにそれなりの時間がかかりそうな気がするかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。

不動産屋はあくまで不動産取引サポートの専門家であり、そのため実務を行う上で要求される知識もかなり限定されるからです。

(ちなみに不動産のプロは不動産鑑定士、建物のプロは建築士、土地のプロは土地家屋調査士や測量士ということになります)

ですので、市販されている実務書の類に何度か目を通した上で、賃貸の媒介であれば3回、売買の媒介でも5回も取引を経験すれば、特に問題なく実務を取り扱うことができるようになるものと考えます。

それに今はインターネット全盛の時代です。

仮に実務をやっていて、わからないことが出てきたとしてGoogle等の検索エンジンを利用すれば、大抵のことは調べがつきますよね。

したがって、実務経験がないということを過度に恐れる必要はないものと考えます。

まっちゃん先生左

不動産実務について学びたいという方に以下の2冊の本をおすすめしておきます。特に②の本は長年、宅建講座や不動産屋さん向け実務講座で教壇に立ってきた私のような人間でさえ、ちょくちょく参照させてもらうことがあるぐらい内容的に充実した本となっています。ガチでおすすめです!

①取引の流れ等を学びたい方はコチラ 知りたいことが全部わかる!不動産の教科書

②重要事項説明関連の知識を得たい方はコチラ 不動産調査実務ガイドQ&A

※多少、費用がかかってもいいから不動産取引実務について講座等で体系的に学びたいという方は以下の講座の受講をご検討ください。

不動産売買仲介取引実務動画講座

②業界未経験で独立している方がたくさんいる

また、より実証的な根拠としては実際に不動産業界未経験で独立し、成功している方が大勢、いらっしゃることが挙げられます。

さきほど、当方の過去からのクライアント名簿を見返してみたのですが、その限られた範囲の中でさえ、実に26名(2024年6月時点で29名)もの方が不動産業界での経験が全くない状態で独立し、しっかりとした結果を残されています。

これほど、雄弁な根拠はないですよね。

実際に業界未経験で独立し成功している方がたくさんいらっしゃる以上、誰も「宅建をとっていきなり独立するなんてムリ」などとは言えないはずです。

なお、私は「宅建をとって、いきなり独立することは可能か?」という問いに対して「可能である」とお答えしているだけで不動産屋に勤務して実務経験を積むことを無意味であると言っているわけではありません

もちろん、たとえ短い期間でも実務経験を積むことは価値のあるこですし、独立後の安心材料にもなるでしょう。

しかし、やはり必須条件だとは思わないので、あなたが年齢等の問題で遠回りをしたくないのであれば、いきなり独立することを選択されても、全く問題ないものと考えます。

ちなみに他の不動産屋さんで実務経験を積まさせてもらう場合の注意点を一つだけ。

ご自身が将来的に不動産屋として独立することを考えている場所にある不動産屋さんは、できるだけ避けましょう

やはり、そういう行儀の悪いことはしない方がいいです。

その不動産屋さんの社長が太っ腹な人で別にいいよと言って下さったとしても、周りは、そうは思いませんので。

たぶん、最低限の義理も守れない人なんだなあと見られることになります。

せめて自分が独立しようと思っている市の隣の市ぐらいで修業させてもらって下さい。

まっちゃん先生左

やっぱり義理って大事です。独立後も古巣といいお付き合いをさせてもらえるよう、最低限の配慮をしましょう。

独立の成否を分けるポイント

不動産屋で独立して成功を収める上で実務経験よりはるかに重要なものがあります。

なんだか、おわかりになりますか?

それはズバリ集客力ですね。

集客することができなければ、売上が立つことはなく、売上が立たなければビジネスを継続していくことはまず、不可能だからです。

実際、私が知る範囲でも不動産屋での実務経験が5年も10年もある、自称「元トップ営業マン」が自信満々で独立したものの、思うように集客することができず、あえなく廃業したという事例が何件かあります。

実務経験が豊富だろうが、営業力があろうが、集客することができなければ何の意味もないのです。

ですので不動産屋として独立することを考えていらっしゃるのなら、事前準備として、必ずご自身の集客力を磨いて下さい。

この点、実務経験なしで独立される方は、とかく実務知識の習得ばかりに目が行きがちになるので、くれぐれも注意して下さいね。

たとえ実務経験がない方が不動産屋として独立する場合であっても、より優先度が高いのはあくまで集客力を磨くことですので。

なお、集客力を磨くために何をすればいいかですが、まずは集客力アップにつながるような本を何冊か読まれることをおすすめします。

以下のページでは集客の基礎となる戦略について深く学べる本を何冊か紹介しておりますので気になるものがあれば是非ともお読みになって下さい。

どの本も少なからず得るところがあるはずです。

宅建と宅建業の免許は別物

この記事を読まれている方の中には、まだ宅建試験の勉強を始める前という方がいらっしゃるかもしれないので念のため申し上げておきますが、宅建士の資格と宅建業の免許はあくまで別物です。

「宅建とって、いきなり独立」などと書くと、宅建資格をとれば、それでいきなり不動産屋として独立開業できてしまうのかと勘違いされる方がいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。

まずは宅建士となり、その上で宅建業の免許を受けてはじめて宅建業者として業務を行うことができるようになります。

また、必ずしも自ら宅建士となる必要があるわけではなく、宅建士の資格を有する者を専任の宅建士として雇用するなどすれば、自らが宅建士とならなくても宅建業の免許を受けることができます。

本記事において「宅建とって、いきなり独立」としているのは、あくまで「宅建をとった後、実務経験を踏むことなく、いきなり宅建業の免許を受けて独立」するということを意味しているのだということを、あらためてご確認下さい。

まっちゃん先生左

宅建資格はなるべくご自身で取得されることをおすすめします!やはり独立当初から宅建士を雇い入れるというのは経済的な負担が大きくなりすぎますので。

独立するまでのスケジュール

最後に宅建をとってから実際に不動産屋として独立できるまでのタイムスケジュールを簡単に紹介しておきます。

※あくまでモデルケースであることをご承知おきください。登録実務講習の申し込みのタイミング、加盟を希望する宅建業者の団体の対応速度等により宅建業の免許を受けられるまでの期間が最大2月程度、長くなることも考えられます。

現在、お勤め中の方は退職時期を検討するための参考にして下さい。

10月第三日曜日・・・宅建士試験

11月の最終水曜日もしくは12月の第一水曜日・・・宅建試験合格発表

2月頃・・・登録実務講習

2月末・・・取引士証交付申請

3月初旬・・・宅建業免許申請

4月下旬~5月中旬・・・宅建業免許交付

なお、宅建業の免許を受けるに際しては大半の方が宅建協会もしくは全日本不動産協会に所属されることになると思いますので、免許申請の進め方等について、なるべく早めに相談されておく方がいいです。

上記のスケジュールで言えば1月中には一度、相談に行っておかれることをおすすめします。

※登録実務講習とは取引士証の交付を受けるのに必要とされる2年の実務経験の代わりとなる講習のことです。
業界未経験で独立しようとする場合には受講が必要となります。
調べたところ今は1月開催の講習やオンライン講習もあるようなので、試験合格が分かった後、すぐに申し込めば、もう少し早く受けられる可能性もあります。

※宅建業者の団体(宅建協会もしくは全日本不動産協会等)に所属すると弁済業務保証金制度を利用できるようになり、本店については60万円、支店については30万円の弁済業務保証金分担金を負担するだけで営業保証金(本店については1000万円、支店については500万円)の供託義務を免除されることになります。

まっちゃん先生左

宅建業者の団体に加盟するための審査(都道府県ごとに置かれる支部単位で行われているようです)は月に1回程度なので、タイミングによっては加盟が1月近くも後ろにずれてしまうことがあります。そういうことを避ける意味でも早めに加盟を希望する宅建業者の団体に相談して、自分が受けたい加盟審査の時期に間に合うよう各種手続きを進めて下さい。

まとめ

  1. 宅建をとっていきなり独立することは十分、可能である。
    その根拠は以下の2つ。
    不動産屋の実務は一般的に考えられているほど難しいものではない。
    業界未経験で不動産屋として独立して成功している方がたくさんいる。
  2. 不動産屋に勤務して実務経験を積むことは有意義なことではあるが必須条件ではない
  3. 不動産屋として独立した後の成否を分けるのは実務経験の有無ではなく、集客力の有無である。
    したがって実務経験がない状態で独立する人であっても、集客力を磨くことにこそ時間と労力を注ぐこと。
  4. 宅建資格と宅建業の免許はあくまで別物である。
    宅建士の資格を有する者を事務所に設置することは宅建業の免許を受けるための一要件である。
  5. 業界未経験の方がいきなり独立しようとする場合の免許交付までの期間は5ヶ月~6ヶ月程度である。
    登録実務講習を受けたりする必要があるため、実務経験者より、少し余分に時間がかかる。

念のため、今一度、申し上げておきますが、私は実務知識を軽んじているわけではありません

お客さんを守るためにも、また、あなた自身を守るためにも実務知識は絶対的に身につけておく必要があります。

ただ、そのためにわざわざ不動産屋で実務経験を積む必要があるのかについては懐疑的です。

テレビの情報番組などでも取り上げられていますので、ご存じの方も多いことと思いますが、今はかつて10年は修行することが必要と言われた寿司職人としての技術でさえ、スクールに通えば3か月ほどで身に着けることができるそうです。

そのことを踏まえれば、まして寿司職人の技術のように習得するための訓練も必要にならない、不動産屋としての実務知識を得るためだけに実務経験を積まなければならないと考えるのがナンセンスなことのように思えてしまうのです。

単に実務知識を得るためだけでなく、たとえば不動産屋で働いて独立するための資金を貯めるなどといった別の目的や理由があるのであれば、賛同致しますが。

ただし、最終的にどちらの道を選ぶかを決めるのはあなた自身です。

あなたにとって、より良いと思える道の方を選択して下さい。

以上、今回は「宅建資格をとって、いきなり独立することは可能か?」というテーマでお送り致しました。