不動産屋として独立した際に直面する最も大きな問題は何と言っても集客に関する問題でしょう。

集客ができないかぎり、売上が立つことはなく、売上が立たない限り、不動産屋を続けていくことはできないからです。

そこで今回は、その最大の問題を解消するべく、集客について大いに学べる本を紹介したいと思います。

いずれも、あなたの集客力を底上げしてくれることは間違いない本ばかりですので是非とも参考になさって下さい。

それでは早速、いってみましょう。

集客したいなら戦略を学ぶべき

今回、この記事で紹介するのは、大半が集客のための戦略について書かれた本です。

理由は単純に安定的な集客を実現したいなら、どんなホームページを作るとか、チラシにどんなことを書くとかいった戦術的なことを考える以前に「戦略」についてこそ徹底的に考えておかなければならないからです。

集客のための「戦略」が明確に定められていれば、どんな戦術をうっても、それなりの集客効果を得られます。

しかし集客のための「戦略」が曖昧なままだと、どんなに優れた戦術もほとんど集客効果を発揮することができません。

つまり、集客のための「戦略」の有無が、集客の可否、さらにはビジネスの成否を決定づけてしまうということです。

優れた集客のための「戦略」を練り上げるべく、以下に紹介する本を是非、しっかりとお読みになって下さいね。

まっちゃん先生左

優れた戦略があれば集客が本当に楽になります。先々、集客で苦労したくない人は是非、この機会に優れた戦略の作り方についてしっかりと学んでおいて下さい。

集客に困らないために読んでおくべき本5選

さて、少し前置きが長くなってしまいましたが、いよいよ本を紹介していきたいと思います。

いずれの本も一生の財産になるような知識が学べる非常にありがたい本です。

事実として私の仕事場の本棚でもいまだに一番、目立つ場所に陣取り続けています

なるべくなら全部、お読みになって下さい。

フォーカス

アル・ライズ著 海と月社

書かれていることは、めちゃくちゃ単純で要するにフォーカスしろ(自ら選択した何らかのセグメントに集中してビジネスに取り組め)ということしか書かれていません。

しかし、戦略というものは突き詰めて言えば、結局、フォーカスすることに集約されるわけで、その意味でフォーカスすることの重要性をとことん説いた、この本の価値は計り知れないものと考えます。

過去の歴史が証明するように世界的な大企業でさえフォーカスを失えば、失速するのです。

まして、個人レベルの会社にとってはフォーカスすることは生き残るための必要最低条件とさえ言えるでしょう。

この本を通じてフォーカスすることの重要性をあなたの脳と体に染みつかせて下さい。

それだけであなたが不動産屋として成功できる可能性は確実にアップするはずです。

金言

「自社内にフォーカスが見つからなければ外に目を向ければいい。早道なのはライバルを見つけることだ。ライバルを特定できれば己の問題もはっきりする。」

フォーカスより

フォーカスすることの重要性はわかったけれど、何にフォーカスすべきかが、よくわからないという方に大いに参考にしてもらいたい一文です。

要するに何にフォーカスすべきかはライバルとの相対的な関係によって決まってくるということですね。

この一文のおかげで私自身、クライアントに対するフォーカスに関するアドバイスに迷いがなくなりました。

まっちゃん先生左

すいません、ちょっと、説明が抽象的になってしまっていますが、本自体は具体例も多く戦略系の本としては非常に読みやすい部類のものです。本を読むのがあまり得意でない方も臆することなく、お読みになって下さいね。

ポジショニング戦略

アル・ライズ、ジャック・トラウト著 海と月社

フォーカスの著者、アル・ライズとジャック・トラウトの共著です。

話の主旨はフォーカスとほぼ同じではありますが、フォーカス、あるいはポジショニングというものの価値をより深く理解するためにも読んで頂きたい一冊です。

フォーカスに比べると、マーケティングを行う上で絶対に無視することができない「顧客(消費者)」により多く目を向けた内容になっています。

金言

「市場のリーダーと競争することは不可能ではない。
だが、ポジショニングの法則に従えば正面から競争を挑むのはご法度である。」

ポジショニング戦略より

この主張を補足する説明の中で「火には火でなく水で戦え」という言葉が出てくるのですが、めちゃくちゃわかりやすい説明ですよね。

この当たり前のことを、我々は忘れて、わざわざ苦しい戦い方を選んでしまいがちです。

相手が火で戦おうとするとき、もっと大きな火で戦おうとしてしまうのです。

ちょっと冷静に考えれば水で戦えば楽に勝てることがわかるはずなのに。

頑張るのが正解ではないのです。

なるべく頑張らずに済む方法を選ぶのが正解なのです。

我々が求めるべきは、相手を正面から打ち負かすことではなく、あくまで効率よく利益を上げることなのですから。

肝に銘じて下さい。

マイケル・ポーターの競争戦略

ジョアン・マグレッタ著 早川書房

ファイブフォース分析やバリューチェーンなどの提唱者として知られる、世界的経営学者マイケル・ポーターの競争戦略のエッセンスを手軽に学べる本です。

ポーターの偉大さは今さら言うまでもないと思いますが、その教えを経営学の素養がない者にもわかりやすく解説することができるジョアン・マグレッタ氏の説明能力には感服させられます。

いやあ、本当にわかりやすい。

私もポーター自身が書いた「競争の戦略」や「競争戦略論」を読んだ際には、あやふやだった個所がいくつか、ありましたが、おかげさまでしっかりと理解し直すことができました。

それでも、なお、テーマがテーマなだけに難解な部分はありますが、戦略について学ぶためには絶対に避けて通ることができない一冊であることは間違いありません。

是非、お読みになって下さい。

金言

「戦略の第一の条件は、価値提案がライバル企業のものと異なることだ。ポーターの定義からいえば、ほかと同じ顧客に対応し、同じニーズを満たし、同じ相対的価格で販売する企業に戦略はない。」

マイケルポーターの競争戦略より

ポーターの主張の核が本当によくわかる記述です。

競争戦略論とは「いかにライバルを打ち負かすか」を語ったものではありません。

いかにライバル等からの直接的な影響を受けることなく利益を出すか」を語ったものなのです。

ポーター曰く、企業の本来の目的はライバルを打ち負かすことではなく、利益を出すことなのですから。

「競争戦略」というネーミングのせいで、どうしてもポーターの主張は「真っ向勝負」を推奨するもののように誤解されがちなのですが、むしろその逆です。

この本を読んで正しく、理解して頂ければと思います。

まっちゃん先生左

ちなみに私はこの本を自分で録音して近所を散歩する際に聞くようにしています。それぐらいに自分に徹底的に根付かせたい考え方が学べる本だと言うことです。戦略について正しく考える力を身に着けたい方は何度も読まれることを強くおすすめします。

小さな会社儲けのルール

竹田陽一、栢野克己著 フォレスト出版

ランチェスター戦略について解説した本です。

実は私以前、あるブログの記事の中で別のランチェスター戦略の本を推薦していたのですが、自分が持っているランチェスター戦略の本をあらためて全部、見返し(9冊も持っていました。別にランチェスター戦略が好きなわけじゃないんですが(笑))、こちらの本を推薦することにしました。

資金を除く経営の8大要素ごとに具体的に検討すべきことを示してくれているので、自分のビジネスに合わせて考えやすいのではないかと考えたからです。

あと竹田先生の辛辣な語り口がすごく好きです。

経営者として気持ちが引き締まると思います。

金言

「弱者は先発企業と差別化し、同じやり方をしない」
「弱者は小規模1位主義、部分1位主義を狙え」
「弱者は戦わずして勝ち、勝ち易きに勝つことを狙う」
「弱者は目標を得意なもの1つに絞る」
「弱者は目標に対して持てる力のすべてを集中する」

小さな会社儲けのルールより

全部、そうだ、そうだと納得できる教えです。

というか、こういうことがわからないかぎり、集客できるようになんて、ならないと思います。

ちなみにランチェスター戦略において弱者とは、「市場占拠率1位の事業者以外の全事業者」のことを指します。

したがって、上記は今、この記事を読まれている、ほぼ、全ての方が守るべき教えということになります。

まっちゃん先生左

ランチェスター戦略系の本としては福永雅文さんのランチェスター戦略一点突破の法則もおすすめです。竹田先生の本をあわせて読まれるとランチェスター戦略に対する理解がより深まることでしょう。

ハイパワーマーケティング

ジェイ・エイブラハム著 角川書店

ビジネスにおける集客の重要性を認識している、ほぼ全ての経営者の方が一度は手にしたことのある本だとは思いますが、それでもあえて推薦しておきます。

それぐらいにどうしても読んでおかなければならない本だということです。

※2024年6月現在、絶版となっているため中古本が高値で取引されているようです。

この本に書かれている方法論というのは、どちらかと言うと「誰でも思いつきそうなこと」ではあります。

しかし単に「思いつくこと」と「それを実践してみること」の間には大きな隔たりがあり、それを実践し方法論として確立したジェイの功績はとてつもなく大きなものと言えるでしょう。

ジェイ・エイブラハムのクライアントのたたき出しているとてつもなく大きな成果がそれを物語っています。

きっとあなたもの本書を読み終わるころには、早く実践してみたいと思えることがいくつも見つかることでしょう。

必読です。

まっちゃん先生左

ハイパワーマーケティングを読んでジェイ・エイブラハムの考え方をもっと知りたいと思われた方は彼が書いたクラッシュマーケティングもお読みになってみて下さい。こちらもハイパワーマーケティングに負けず劣らず、学びの多い本です。

金言

「すべての場面でUSPを表現する」
「ビジネスにかかわる全員にUSPを周知徹底させる」

ハイパワーマーケティングより

ハイパワーマーケティングはどちらかというと具体的な集客の仕方や儲けの出し方について書かれた戦術本なので、金言として取り上げることができるような記述がほぼありません。
しかし、その中でも上記の2つの文章は実践することの重要さを知るジェイならではのもので深く感銘を受けました。

「USP(ユニーク・セリング・プロポジション(独自のウリのこと))を考えるだけでは何の意味もない。
それを全従業員に周知徹底し、すべての場面で表現してこそ、その意味を発揮するのだ。」
ということを強く認識させてもらいました。


私が持っているのはインデックス・コミュニケーションズから出版された金森重樹さんの監訳本の方です。
2017年に角川書店から出版されたもので監訳者が異なるようですが、特に内容の違いはないものと思います。

まっちゃん先生左

新版のハイパワーマーケティングも絶版となり、価格が高騰しているようです。(2024年6月29日時点では1万円超)転売屋さんに儲けさせるのは正直、あまり面白くないですが、それでもなお、どうしても読んでもらいたい一冊です。

なぜ、アメリカ本ばかりなのか?

この記事を読まれた方の中には、このようなことを感じられた方がいらっしゃるかもしれません。

「推薦する本の5冊中、4冊がアメリカ人の書いた本なの?
この人、単なるアメリカかぶれ?」

いや、決してそうではありません。
事実としてアメリカのマーケティングが世界の先頭を走っているだけの話です。

ためしに上記のような本を読んだあとに日本人の方が書かれたマーケティング関連の本を何冊か読んでみて下さい。
「あれ、この本の著者、あの本を読んでる?」と感じることが頻繁にあるはずです。

そう、日本では有名なマーケティングの大家たちもみんなアメリカ本で学んでいるのです。
というかアメリカ本ばかりで学んでいるのです。

あなたもマーケティングについて本格的に学びたいなら、是非、アメリカ本で学んで下さい

ちなみに私もマーケティング関連ではこんな本を書かせてもらっています。

低予算でもムリなくムダなく集客できる! 小さな不動産屋の儲け方(同文舘出版刊)

※2024年6月現在、紙の本は絶版となっているため中古本しか入手することができません。
※正規価格で購入したいという方はKindle版がありますので、そちらをご利用下さい。

興味があれば是非、お読みになって下さい。

きっと「あっ、あの本に書かれていたことの影響を受けているな。」と感じる箇所をいくつか発見できるはずです。(笑)

まっちゃん先生左

どさくさに紛れて自分の本の宣伝をしてすいません。私の本はさておき、ここで紹介した本はいずれも大きな学びを得られるものばかりですので是非ともお読みになって下さいね。

集客本を読む上での注意点

最後に集客本を読む上での注意点を一つ、ご紹介しておきたいと思います。

それは読んで終わりにせず、必ず、実践するということです。

あなたが集客に関して書かれた本を読む理由って何でしょうか?

単に集客に関する知識を学びたいという知識欲だけで読んでいるわけではありませんよね。

集客に関する知識を学び、それを活かして集客できるようになりたいという目的があって本を読んでいるはずです。

ところが、そのことを忘れてせっかく本を読んでも何の実践もせず、次から次へとどこかでいいと聞いた本を読み漁っているだけの状態に陥ってしまう人が本当に多いんですよね。

集客に関する知識を学ぶだけで集客ができるようになるわけではありません。

それをご自身の実際の集客活動の中で実践してみてこそ集客できるようになるのです。

だから集客に関する本を読む際には、一冊、読んだら、その本に書かれていたことを最低でも一つは実際の集客活動の中で実践してみるということを是非ともルール化して下さい。

このルールを守らず、次から次へと本を読んでいるだけでは、あなたの思うように集客できないという現実が変わることはありませんので。

単なる集客本収集家にならないよう十分、注意して下さいね。

まとめ

  1. 新たに独立したばかりの小さな不動産屋の多くが、集客に困ることになる理由はズバリ、戦略がないから
    競合と単純比較されることを避けるためにも小さな不動産屋にこそ戦略が必要である。
  2. 不動産屋として独立して、集客に困らないために読んでおくべき本は次の5冊。
    フォーカス アル・ライズ著 海と月社
    ②ポジショニング戦略 アル・ライズ、ジャック・トラウト著 海と月社
    マイケル・ポーターの競争戦略 ジョアン・マグレッタ著 早川書房
    ④小さな会社儲けのルール 竹田陽一、栢野克己著 フォレスト出版
    ハイパワーマーケティング ジェイ・エイブラハム著 角川書店
  3. マーケティングに関してはアメリカが最先進国。
    したがってマーケティングについて学びたければ、アメリカで多くの人に支持されているマーケティングの本で学ぶべきである。
  4. 集客本は決して読んで終わりにせず、最低でも一つは実践してみること
    実践してみてこそ状況は変わりうる。

今回、紹介した本があなたのビジネスの状況に望ましい変化をもたらすことを心より祈念しております。

しつこいようですが読んで終わりにせず、実践してみることをお忘れなく。

以上、今回は「不動産屋が集客力をアップするために読んでおくべき本5選」というテーマでお送り致しました。

まっちゃん先生左

ちなみに今回紹介した本のうち比較的読みやすいのは、フォーカス、ポジショニング戦略、ハイパワーマーケティングの3冊になります。本を読むのが苦手という方は、まずは、これら3冊だけでも読んでみて下さい。もちろん、1冊読んだら、1つは実践してみるということも忘れないでね。