こんにちは松村です。
先日、西梅田のジュンク堂さんに立ち寄ったら、1年半ほど前に書かせてもらった本がまだ平積みになっていて感動しました。
ジュンク堂さん最高!
ということで、みなさん、本を買うなら西梅田のジュンク堂さんということでお願いしておきます。(笑)
さて本日は「不動産屋になるには、どんな手順を踏む必要があるのか」ということについてお伝え致します。
不動産屋(宅地建物取引業)は免許制を採用していることもあって、いわゆる士業なんかと比べると、なるための手順が少しややこしいところがあるんですよね。
そのあたりのことをスッキリとご理解いただけるよう、なるべくわかりやすく解説していくつもりですので興味のある方は是非、最後までご覧になって下さい。
それでは早速、行ってみましょう。
不動産屋になるための手順
不動産屋になるために踏むべき基本的な手順は以下のとおりです。
なお、本項では宅建士試験に合格するところから、話を始めさせて頂いていますが、既に宅地建物取引士は持っているという方は手順4つ目の「事務所を設ける」というところから読み進めて頂ければと思います。
①宅建士試験に合格する
不動産屋になる=宅地建物取引業の免許を受けるためには事務所を設け、その事務所に専任の宅地建物取引士を設置する必要があります。
この要件を満たすためにまずは宅地建物取引士試験に挑戦し合格しなければならないということです。
宅地建物取引士試験は例年の合格率が16%程度と結構、難しい試験になっています。
正直、中途半端な勉強ではなかなか合格することができないと思いますので覚悟を決めてしっかりと取り組むようにして下さい。
なお、事務所に置く、専任の宅地建物取引士は必ずしも宅建業の免許を受けようとする者、自らである必要はなく、宅地建物取引士である者を雇用することによっても、その条件をクリアすることができます。
開業当初から人件費の負担が必要になりますのであまりおすすめできる方法ではありませんが、一日も早く不動産屋として開業したいという場合には、この方法をとることを検討されても良いかもしれません。
宅建士試験の勉強方法については以下の記事を参考にして下さい。きっとお役に立てるはずです。
②宅地建物取引士登録を受ける
宅地建物取引士試験に晴れて合格することができましたら、試験地の都道府県にて宅地建物取引士としての登録を受けます。
この登録を受けるためには原則として2年以上の実務経験が必要となります。
2年以上の実務経験がない場合にも、いわゆる登録実務講習を修了することによって同条件をクリアすることができますので、実務経験がない方も心配無用です。
なお、登録実務講習の実施機関は以下のページでご確認頂けます。
③宅地建物取引士証の交付を受ける
宅地建物取引士登録ができましたら宅地建物取引士証の交付を受けます。
この交付をもって正式に宅地建物取引士となります。
逆に言うと宅地建物取引士証の交付を受けるまでは、たとえ都道府県の登録を受けていたとしても、まだ、宅地建物取引士ではなく、宅地建物取引士としての事務を取り扱うことができませんので十分、ご注意下さい。
④事務所を設ける
宅地建物取引業の免許を受けるには宅地建物取引業者としての事務を執り行うための事務所を設ける必要があります。
宅地建物取引業者の事務所については他の空間と明確に区切られている必要がありますが、必ずしも我々が一般的に想像するような店舗や事務所のようなものである必要はありません。
たとえば自宅の一室であっても生活空間と明確に区切られているのであれば事務所として使用することができます。
なお、自宅の一室の事務所使用の可否についてご不安がある場合には入会を検討されている宅地建物取引業者の団体の方にご相談下さい。
適切にアドバイスして下さるはずです。
⑤宅地建物取引業の免許を申請する
専任の宅地建物取引士および事務所を確保することができましたら宅地建物取引業の免許を申請します。
宅地建物取引業の免許の申請に必要となる書類は宅地建物取引業の免許を受けようとする都道府県のホームページでダウンロードすることができます。
Google等の検索エンジンで「都道府県名+宅地建物取引業免許申請書」などと検索してみて下さい。
すぐに免許申請書のダウンロードページを見つけることができるはずです。
免許申請書は枚数が多い上に内容的にも結構、ややこしいので記入するのが大変かもしれませんが、手引書にしたがって記入していけば完成させられるはずですので根気よく取り組んで下さい。
なお免許の申請に際しては都道府県知事免許の場合で33,000円、国土交通大臣免許の場合で90,000円の手数料が必要となります。
都道府県をまたいで複数の事務所を設置する場合には国土交通大臣免許を受ける必要があります。
⑥宅地建物取引業者の団体に入会する
宅建協会や全日本不動協会などの宅地建物取引業者の団体に入会します。
これは主に弁済業務保証金制度を利用するためです。
弁済業務保証金制度とはものすごく簡単に言うと宅建業の免許を受ける際に本来、必要となる営業保証金の供託による経済的負担を軽くするための制度です。
宅建業の免許を受ける際には、取引に際してお客さんに損失を与えた場合の賠償に備えるべく、事務所のうち本店については1000万円、支店については1ヶ所につき500万円の営業保証金の供託が必要となるのですが、これだけの金額の供託をするのは、これから不動産屋としてのビジネスをスタートさせようとしている方にとっては、さすがに経済的負担が大きすぎますよね。
そこで、その経済的負担を軽くすべく弁済業務保証金制度というものが設けられているわけです。
弁済業務保証金制度を利用すれば事務所のうち本店については60万円、支店については1ヶ所につき30万円の弁済業務保証金分担金を納付するだけで宅建業の免許を受けることができます。
そして、この弁済業務保証金制度を利用するためには宅地建物取引業保証協会に加入する必要があるのですが、宅地建物取引業保証協会に加入するためには、その前提として宅地建物取引業者の団体である宅建協会や全日本不動協会などに加入する必要があるということです。
ちょっと、ややこしい話ではあるのですが、宅地建物取引試験の試験対策上も重要なポイントですので是非とも覚えておいて下さい。
⑦開業する
上記の手順をすべてクリアされましたら、ほどなく宅建業の免許が届き、晴れて不動産屋としてビジネスをスタートすることができることになります。
なお、宅建業の免許が届くまでは、まだ、宅建業者ではなく、いわゆる営業行為は一切、できませんのでご注意を。
はやる気持ちはわかりますがフライングしてしまうと免許権者から何らかの監督処分を受けるなど重大な結果を招く可能性がありますので、ちゃんと宅建業の免許が届いてから営業活動をスタートするようにして下さい。
以上が不動産屋になるために踏むべき基本的な手順ということになります。
宅建士試験に合格するというところから始める場合、最短でも1年はかかる長い手順になってしまいますが、不動産屋になるために必要なことですので、是非、気長に取り組んで頂きたいと思います。
上記手順のうち最も大変なのは1.の「宅建士試験に合格する」という手順ですね。ここさえ超えてしまえば後は単なる手続きですので、それほど大変なことはないと思います。まだ宅建士試験に合格していない人は、先のことは一旦、わきに置いておいて、宅建士試験の勉強にしっかりと集中して下さい。
ビジネスの成功確率を高めるためにやっておいた方が良いこと
ここでは上で紹介した不動産屋になるために必要な基本的な手順以外に、不動産屋としてのビジネスの成功確率を高めるために開業前にやっておいた方が良いことを特に重要な3つのものに絞って紹介しておきたいと思います。
もちろん、あなたも不動産屋になること自体が目的ではなく、不動産屋として成功することこそが目的であるはずですよね。
その意味では上記手順以上に重要な内容であると断言できますので是非とも合わせてご覧になって下さい。
①集客について学ぶ
不動産屋としてのビジネスの成否を分けるのは結局、集客できるかどうかです。
集客ができなければ売上が立つことはなく、売上が立たなければビジネスを続けていくことさえできないからです。
極論を言えば、実務的な知識などはお客さんを獲得してから慌てて調べても何とかなります。
ですので宅建試験合格後は全てのことに優先して集客について学ぶようにして下さい。
以下のページで集客について学ぶのに最適な本を紹介しています。是非とも参考にして下さいね。
②戦略を考える
「戦略」などと言うとちょっと難しい感じがするかもしれませんが、要するに競合ひしめく市場環境においてお客さんから「選ばれる理由」を考えるということです。
「選ばれる理由=競合との違い」をちゃんと用意できれば、一定の確率で、その「違い」に価値を感じるお客さんから選ばれることになります。
しかし「選ばれる理由=競合との違い」を用意できなければ、なんとなくでしか、お客さんに選ばれることはないのです。
安定的な集客を実現したければ、必ず事前に戦略について十分、検討した上で不動産屋としてのビジネスをスタートさせるようにして下さい。
③人脈を広げる
不動産屋として開業した直後の時期というのは十分な事前準備をしていたとしてもなお、集客に苦戦する可能性が高いです。
開業した直後の時期というのは不動産屋の集客における重要ファクターの一つである「信用度」がほぼゼロの状態だからです。
そこで、その苦しい時期をなるべく無難に乗り越えるべく、お客さんの紹介を期待できるような人脈を広げる努力を事前にやっておかれることをおすすめします。
紹介であれば自身の不動産屋としての信頼度みたいなものに関係なくお客さんを獲得することができるからです。
独立家向けの勉強会などに積極的に参加して、お客さんを紹介してくれそうな人脈をなるべく広げておいて下さい。
以上の3つが不動産屋としてのビジネスの成功確率を高めるために開業前にやっておいた方が良いことになります。
いずれも集客にかかわることばかりですが、その理由はもうおわかりですよね。
はい、上でも既にお伝えした通り「不動産屋としてのビジネスの成否を分けるのは結局、集客できるかどうか」だからです。
ここさえ外さなければ、せっかく不動産屋になったのに鳴かず飛ばずで、すぐにサラリーマン生活に逆戻りみたいなことだけは確実に避けることができるはずです。
是非、肝に銘じて下さいね。
まとめ
- 不動産屋になるために踏むべき基本的な手順は以下のとおりである。
①宅建士試験に合格する
②宅地建物取引士登録を受ける
③宅地建物取引士証の交付を受ける
④事務所を設ける
⑤宅地建物取引業の免許を申請する
⑥宅地建物取引業者の団体に入会する
⑦開業する - 不動産屋としてのビジネスの成功確率を高めるために開業前にやっておいた方が良いことは以下のとおりである。
①集客について学ぶ
②戦略を考える
③人脈を広げる
なお、不動産屋としてのビジネスの成功確率を高めるために開業前にやっておいた方が良いことについては個人的には開業の時期を多少、後ろにずらしてでも事前にやっておいた方がいいことだと考えています。
実際、私自身がこういったことを全くやっていなかったがために深夜バイトに通う羽目になるなど酷い目に遭っていますので。(笑)
私と同じような酷い目に遭うことなく、スムーズにビジネスを軌道にのせていきたいという方は少なくとも上記3つのことだけは必ず事前に実践するようにして下さいね。
以上、今回は「不動産屋になるには、どんな手順を踏む必要があるのか」について紹介いたしました。