こんにちは、松村です。

本日は「不動産屋は本当にボロ儲けなのか?」というテーマでお送りしたいと思います。

私の場合、メインの仕事は不動産屋さん向けのコンサルなのですが、一般の方から仕事のことを尋ねられた時には面倒くさいので「不動産屋です」と答えることが多いんですね。

すると結構な割合の人が「不動産屋って、結構ですなあ。ボロ儲けですやん。」みたいなことをおっしゃるんです。

私が住んでいるのが率直な物言いをする人の多い大阪ということがあるのかもしれませんが(笑)

そこで、その世間のイメージが不動産屋の実態に即したものなのかということを、今回、ブログのネタとして取り上げてみようと思った次第です。

なかなか、興味深い話になると思いますので、これから不動産屋として独立することを考えていらっしゃる方は是非とも参考までにご一読下さい。

きよわい左

関東ではよほど親しい相手でない限り「ボロ儲けですね」とはまず、言わないと思う。関西人、恐るべし。

不動産屋はボロ儲けは事実なのか

ズバリ結論から。

一般論としては不動産屋はボロ儲けというほどのことはありません。

普通に「まあ儲かる」といった程度の感じでしょうか。

たしかに不動産屋は他のビジネスから比べると顧客単価がずば抜けて高い分「ボロ儲け」しているような印象にはなりやすいと思います。

ただ、その儲けを得るために経費や手間もそれなりにかかっていますからね。

20万円かけてチラシを入れたのに1本の電話も鳴らなかったなんていう話もよく聞きます。

そういったことまで含めて考えれば「ボロ儲け」とまでは言えないというのが実際のところだと思います。

まっちゃん先生左

不動産屋はチラシに限らず、広告の完全な空振りが結構、多いビジネスです。そのあたりのことを考慮すれば「ボロ儲け」とまでは言い難いということが、ご理解頂けるんじゃないでしょうか。

儲けやすいビジネスであることは事実

ただし、「ボロ儲け」とまでは言えないとしても不動産屋が比較的、儲けやすいビジネスであることは間違いないと思います。

上でも少し触れたとおり、不動産屋は顧客単価が非常に高いからです。

たとえば価格3000万円の不動産について不動産屋が売主・買主双方を媒介して売買契約を成立させたとします。

この時に不動産屋が受け取ることができる報酬の金額は以下のとおりです。

{3000万円×3%+6万円}×2(売主・買主双方から報酬を受け取ることができるため)=192万円(消費税別)

かなり大きな金額ですよね。

もし、売っているものの価格が1000円であれば単純計算で1920人のお客さんを集めなければ達成することができない金額なわけですから。

以上のような事実から、不動産屋は比較的、儲けやすいビジネスであると申し上げているのです。

実際にボロ儲けしている不動産屋も

なお、ビジネスのやり方等によっては実際にボロ儲けしている不動産屋もあります。

ボロ儲けしている不動産屋は大体、以下の2種類に分類されます。

  • 新築分譲や買取再販などの自らが売主になる取引を中心に行っている
  • グレーなことをやっている

以下、それぞれについて簡単に説明しておきます。

新築分譲や買取再販などの自らが売主になる取引を中心に行っている

新築分譲というのは、土地を仕入れて、その土地の上に新たに建物を建てて、それを自ら売主として販売するということですね。

買取再販はたとえば中古の戸建てやマンションを買取り、それをリフォームして(あるいはそのまま)、再度、販売するということです。

新築分譲にしても買取再販にしても、不動産を安く仕入れることができたり、売出しタイミング良かったりすれば大きく稼げる可能性があります。

一取引で「500万円儲かった」などということも、ちょくちょく、あるようですので。

ただし、自らが売主になる取引は、不動産が思うような時期に思うような価格で売れなければ、当然、ほとんど利益が出せなかったり、赤字という結果に終わってしまうことになります。

つまり、ボロ儲けできる可能性がある反面、それなりにリスクがあるということです。

まっちゃん先生左

特に不動産の仕入れ資金を金融機関からの融資に頼る場合には、金利負担がある分、リスクも大きくなりがちです。より慎重な検討が求められます。

グレーなことをやっている

ここにグレーなこととは、手段を問わず、自社の利益を大きくするために、お客さんの利益を害するような行為全般のことを指すものと考えて下さい。

たとえば、いわゆる「囲い込み(売主さんから売却を依頼された物件について、自社が両手仲介になるために他社に買主仲介させない行為)」なんかもグレーなことの一つですよね。

囲い込みをすれば買主候補が、その不動産屋さんの直接の買主さんに絞られてしまう分、最終売却価格が当然、下がってしまうわけですから。

本来であれば3000万円ぐらいで売却できるような不動産が、たとえば2700万円ぐらいでしか売却できないようなことも普通に起こりうると思います。

つまり、このケースでは不動産屋は自分が買主さんから、約90万円ほどの報酬を受け取るために売主さんに300万円ほどの損害を与えてしまっているわけです。

これでは売主さんはたまったものではありませんよね。

これに限らず、不動産屋のやるグレーなことというのは色々と存在しています。

そして、そういうグレーなことをお客さんの利益を考えず、平然とやり続ける不動産屋は結果として「ボロ儲け」という状態になるわけです。

まっちゃん先生左

なお、このようなことを全ての不動産屋さんがやっているわけではありませんので、その点は誤解されませんように。本当に誠実に業務を行われている不動産屋さんも少なからず、いらっしゃいます。

ボロ儲けしていると思われがちな理由は?

上記のような例外を除けば、既にお伝えしている通り、不動産屋は儲けやすくはあるけれど、ボロ儲けというほどのことはないというのが実際のところです。

にもかかわらず、なぜ世間一般では「不動産屋=ボロ儲け」と信じられていることが多いのでしょうか。

その主な理由は以下の3つであると考えられます。

  • バブル期のイメージが強い
  • 不動産屋は見栄っ張りが多い
  • 報酬が大きい

以下、それぞれの理由について簡単にコメントしておきます。

バブル期のイメージが強い

これは説明不要でしょう。

私も当時はまだ学生だったので、伝聞にはなってしまうのですが、バブル期の不動産屋の儲かり方はなにしろ異常なものだったらしいです。

その時のイメージが強すぎて年配の方を中心に「不動産屋=ボロ儲け」というイメージが強くなっているということですね。

とは言っても世間一般の人もバブル崩壊後、多くの不動産屋がどんな目に遭ったかはご存知のはず。

にもかかわらず、ボロ儲けのイメージだけが残ったのは少し不思議な気がしますが(笑)

まっちゃん先生左

昔、お付き合いのあった、ある不動産屋の社長の「あの時にアホみたいに調子に乗ってなかったらなあ」という言葉と遠くを見る目が今も鮮明に思い出されます。

不動産屋は見栄っ張りが多い

不動産屋の業界はなぜか高級車や高級時計が大好きな見栄っ張りの多い業界です。

実際にはフルローンでレクサスに乗ったり、ロレックスを身に着けたりしている人も多いのですが、そんな事情は周囲の人にはわかりませんよね。

で、外面的な事実だけを捉えて「不動産屋ってボロ儲けなんだなあ」と思われてしまっているということです。

ちなみに不動産屋でも今の若い営業マンたちは、だいぶ傾向が変わってきているようです。

つい先日、取引を通じて知り合った若手営業マンも「車は必要な時だけカーシェアを利用しています」と言っていました。

きよわい左

営業マンだけでなく、不動産屋さん自体もあまり見栄を張らなくなってきているような気がする。お客さんを案内する際の車も軽自動車ってところが結構、増えてきているもんね。

報酬が大きい

不動産屋の媒介によって売買契約が成立した際にお客さんが不動産屋に支払うことになる報酬は結構、大きいものです。

たとえば3000万円の不動産の売買契約が成立した際にお客さんが不動産屋に支払うことになる報酬は消費税込みで105万6千円にもなります。

この金額だけを見ればお客さんは当然、不動産屋はボロ儲けだなあと感じることになりますよね。

しかし、実際には、そんなことはありません。

不動産屋さんが対応したお客さんの成約率はせいぜい平均30%程度のもの。

つまり3人に2人以上のお客さんには逃げられているのです。

不動産屋の報酬は成功報酬とされているため、逃げられたお客さんについては、どれだけ時間とお金と労力をかけて対応していたとしても1円の報酬も受け取ることができませんしね。

つまりはタダ働きということです。

さらにうまく成約できたとしても、集客や物件調査、書類作成などにも、はた目からは想像つかないくらいに経費や労力がかかっています。

仕入れがないため、丸々、利益でボロ儲けと思われがちですが、実際には決してそんなことはないということです。

まとめ

  • 一般論としては不動産屋はボロ儲けというほどのことはない
    「まあ儲かる」といった程度の儲かり方。
  • 不動産屋が比較的、儲けやすいビジネスであることは事実。
  • 実際にボロ儲けしている不動産屋は以下の2タイプ。
    ・新築分譲や買取再販などの自らが売主になる取引を中心に行っている
    グレーなことをやっている
  • 不動産屋がボロ儲けしていると思われがちな理由は以下の3つ。
    ・バブル期のイメージが強い
    ・不動産屋は見栄っ張りが多い
    ・報酬が大きい

ちなみにうちのコンサルのクライアントの中にも「ボロ儲け」とまでは言わなくても売上が随分と伸びている不動産屋さんが何社かありますが、そういう不動産屋さんは高確率で買取再販に取り組んでいらっしゃいます。

やはり買取再販はリスクはあるものの、仲介に比べて一取引で得られる利益額がはるかに大きくなりますからね。

これから不動産屋として独立することを検討されている方は、そのあたりのことを念頭に置きつつ、ビジネスモデルや事業計画を考えてみるのがいいかもしれません。

案外、本当に周りから「ボロ儲け」と言われるような状態にまで、たどり着けるかもしれませんよ。

以上、今回は「不動産屋は本当にボロ儲けなのか?」というテーマでお送り致しました。

まっちゃん先生左

不動産屋として独立開業することに興味のある方は、合わせて以下の記事をご覧になって下さい。特に業界未経験で独立開業することを検討されている方にとっては少なからず参考になるはずです。

不動産屋を開業してみた。経験者が語る本音、正解?それとも失敗?