今回は不動産業での独立に役立つ資格をランキング形式でご紹介します。

不動産業での独立と言うと最初に思いつくのは宅建だと思いますが、それ以外にも独立に際して持っていると武器になる資格が結構、たくさんあります。
競合他社との差別化の方法の一つとして、資格取得を検討されている方は是非とも参考になさって下さい。

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独立に役立つ資格ベスト10

お役立ち度につきましては、宅建のお役立ち度を100点の基準点として、それぞれの資格について判断しております。
反対意見もあると思いますが、私個人の経験及び当方クライアントの声なども加味して、なるべく公平に判断したつもりですので、その点、ご理解下さい。

1位 宅建

お役立ち度;100点 取得難易度;B

契約に先立ち行われる権利取得者に対する重要事項説明を行うのに必要となる資格で正式名称を宅地建物取引士と言います。
不動産業者=宅建業者の事務所には5名の従業員ごとに1名以上の宅地建物取引士を設置することとされており、この条件を満たすことができないと宅建業者はその事務所で営業活動を行うことができなくなります。

つまり、宅建業者の営業活動の根幹をなす資格であり、不動産業での独立を目指す以上、最優先で取得すべき資格ということになります。

2位 建築士

お役立ち度;50点 取得難易度;C

言わずと知れた各種建築物の設計をするために必要な国家資格です。
建物のプロとして広く認知されているため、建物つきの不動産の取引場面ではお客さんへのアピール度が非常に高くなります。

なお、取得難易度をCとしているのは2級建築士を念頭に置いての話です。
1級建築士であれば、取得難易度はAに跳ね上がります。

※建築士には厳格な受験資格制限があります。
取得を検討される場合には、事前に受験資格制限についてご確認下さい。

3位 ファイナンシャルプランナー

お役立ち度;49点 取得難易度;C

不動産・保険・金融資産・相続・税務などの幅広い知識を持ち、総合的な見地からライフプラン等についてアドバイスを行うことができる資格です。
不動産購入の場面では多くのお客さんが長期の返済を伴う住宅ローンを利用することになるため、長い目で見た適切な資金計画についてアドバイスができるファイナンシャルプランナー資格があると大いに頼りにされます。

なお、取得難易度Cは2級FP技能士(国家資格)、AFP資格(民間資格)の場合の話です。
上級資格である1級FP技能士(国家資格)、CFP資格(民間資格)の場合、取得難易度はAとなります。

4位 不動産鑑定士

お役立ち度;45点 取得難易度;S

不動産の経済的価値を鑑定する国家資格で、国内の不動産関連の資格の中では最も難易度が高く権威のあるものとされています。
宅地建物取引士が「不動産取引のプロ」であるとすれば不動産鑑定士は「不動産のプロ」ということになるでしょう。

取得は容易なことではありませんが、もし、取得できれば大型物件や特殊物件の取引等において非常に強力な武器になることは間違いありません。
より専門家的な立場で不動産取引に関わりたいという方は是非ともチャレンジしてみて下さい。

5位 司法書士

お役立ち度;41点 取得難易度;S

主に不動産登記・商業登記の代理申請を業務として行うための国家資格です。
難易度は不動産鑑定士とほぼ同等で非常に難しい資格です。
不動産売買取引では取引に伴い、所有権移転等の権利の登記をする必要がありますが、その登記の申請代理も同時に行えるため、お客さんからすると、非常に便利になります。

ただし、取引の安全性という面から考えると、仲介業者と登記の申請代理を行う者が同じということが、お客さんの目に果たして、どう映るのか少し疑問が残ります。

6位 土地家屋調査士

お役立ち度;40点 取得難易度;A

主に不動産の測量及び図面の作成や表題登記(不動産の物理的現況についての登記)の代理申請を業務として行うための国家資格です。
不動産取引においては境界の確認というのが、業務上の重要なポイントの一つになるのですが、その場面において、非常に大きな力を発揮してくれます。

お客さんに対するアピール度は、それほど高くないと思いますが、取引の安全を図る上で間違いなく有用な資格と言えます。

※それほどネームバリューにこだわらないのなら測量士でも問題ありません。

7位 行政書士

お役立ち度;36点 取得難易度;A

各種法務手続きや契約書面の作成の代行等を行うことができる国家資格です。
不動産取引の場面では法律上の問題が多く発生するため、行政書士資格を保有していると法律に詳しい国家資格者として頼りにされます。

小さな不動産屋さんの場合、しばしば、その信頼性が営業上の足かせになることがありますが、法務のエキスパートとして認知度の高い行政書士資格があれば、十分にその問題を解決できるはずです。

8位 不動産コンサルティングマスター

お役立ち度;31点 取得難易度;B

宅建の上級資格的な位置づけの国家資格です。
不動産の利用等について、より専門的な立場からアドバイスができる資格なのですが社会的認知度が低く、お客さんに対するアピール度は残念ながら決して高くないというのが現状です。

主に実務能力の向上を目的に取得を検討すべき資格と言えます。

9位 住宅ローンアドバイザー

お役立ち度;30点 取得難易度;D

その名のとおり、お客さんに住宅ローンの選び方、利用の仕方などについてアドバイスするための民間資格です。
お客さんに対するアピール度は、それほど高くはありませんが、住宅ローンに関する知識を体系的に学ぶ良い機会にはなると思います。

合格率は80%程度で、真面目に勉強すれば、まず、落ちることはありません。

10位 ホームインスペクター

お役立ち度;29点 取得難易度;D

住宅診断を行うための民間資格です。
欠陥住宅が社会問題になったこともあり、一時期、注目を浴びた資格ではありますが、建築士資格があってこその資格で単独では、それほど効果を発揮しないというのが実際のところです。

建築士の受験資格はないけれど、建物について少し、知識を身に着けたいという方は受験を検討してみて下さい。

不動産業での独立に役立たない資格

最近、注目を集めている不動産関連の資格としてはマンション管理士や管理業務主任者といった資格もあります。

比較的、新しい資格であること(初めて試験が行われたのは2001年)、また、出題範囲が宅建と似ているため、大手資格スクールがダブルライセンス、トリプルライセンスを目指そうとプッシュしたことなどもあって、人気となったようです。
難易度もそれなりに高く、マンション管理士に至っては、合格率は一桁台で宅建の1.5倍程度の難易度となっています。

しかし、個人的にはどちらの資格も少なくとも不動産業での独立を目指す上で、取得したところで、それほど役に立たない資格であると考えています。
どちらの資格も分譲マンションの管理業務(賃貸マンションの管理業務ではない点に注意)に関与する上で有効な資格であって、不動産取引の仲介等の業務に関与する上では、ほぼ意味のない資格だからです。

また、お客さんの側の認知度も低く、苦労してとったところで競合他社との差別化の武器になることもまず、ありません。
したがって、これらの資格については取得の優先度が低いというのが私の考えです。

※マンション管理士や管理業務主任者の資格に価値がないと言っているのではありません。
分譲マンションの管理会社などに勤務するのなら必須と言ってもいいぐらいの資格です。
ただ、不動産屋としての仕事をやっていく上では、ほぼ、意味がないと申し上げているだけです。

宅建がなくても独立は可能?

不動産業での独立に際しては必須となる宅建資格ですが、実は宅建業者となる個人、あるいは法人の代表者自身が宅建資格を持っている必要はありません。
雇い入れた従業員を専任の宅地建物取引士とすることができれば、事務所への宅地建物取引士の設置義務を満たすことができるからです。
したがって、宅建試験に合格するのを待たずに不動産屋としてビジネスを開始したいという場合には宅建資格を持っている人を雇い入れることを検討しても良いでしょう。

ただし、雇い入れた専任の宅地建物取引士がやめてしまうと、宅建業者として営業を継続することができなくなってしまうことには注意が必要です。
専任の宅地建物取引士の設置義務に違反する状態になった場合、あらためて2週間以内に宅地建物取引士の設置義務を満たさなければなりません。
この点を踏まえれば、たとえば、近親者など、まず、やめることがない人を専任の宅地建物取引士とするのが理想と言えます。

なお、以前は勤務の実態がない人を専任の宅地建物取引士として宅建業の免許を受けるようなことが横行していましたが、今はかなり難しくなっているようです。
免許権者によっては、「常勤性」を証明できる各種書類の提出を求められることもあります。

そもそも不動産屋たる者、法に触れるようなことを絶対にすべきではありませんので、ちゃんと宅建業法の基準を満たせるような人を専任の宅地建物取引士として下さい。

※「常勤性」とは、専任の宅地建物取引士として、その不動産屋に普通に勤務していることを指します。
たとえば長い営業時間のうちのほんの数時間程度しか勤務していないパート社員の場合、「常勤性」は否定されるものと考えます。
つまり、専任の宅地建物取引士に、なることはできないということです。

資格取得に関する注意点

最後に資格取得に関する注意点を一つだけ、お伝えしておきます。
それはビジネスを行う上での必要性を踏まえて資格取得の是非を考えるということです。

我々の目標はあくまで不動産業で独立し経済的成功を収めることです。
その目標達成に貢献しない資格であれば、どれほど難しい資格であっても取得したところで大して意味はありません。
ただ、単にあなたの虚栄心が満たされるだけです。

見込み客の頭の中に焦点をあてましょう。
どんな資格を取得し、そのことをアピールすれば見込み客に選ばれる可能性が高まるのかをしっかり考えるのです。

何を勉強するにしろ、勉強すること自体が素晴らしいことは否定しません。
しかし、実利や成果を求めるなら「何を勉強するか」ということが、やはり非常に重要になります。

資格取得について考える際には、このこと決して忘れないようにして下さい。

まとめ

1.不動産業での独立に役立つ資格ベスト10は1位から順に宅建・建築士・ファイナンシャルプランナー・不動産鑑定士・司法書士・土地家屋調査士・行政書士・不動産コンサルティングマスター・住宅ローンアドバイザー・ホームインスペクター。

2.マンション管理士や管理業務主任者は不動産屋として独立し成功を目指す上では、ほとんど役に立たず、取得の優先度は低い

3.自分自身は宅建資格を持っていなくても宅建資格を持つ者を雇用することで宅建業者として独立することは可能である。

4.資格は何でも取得すれば良いというわけではない。
大切な時間や労力を無駄遣いしないためにもビジネスを行う上での必要性を踏まえて資格取得の是非を考える。

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