どちらかと言うと高収入のイメージがある不動産屋さんですが、実際のところ、それほど儲かるものなのでしょうか?
独立を検討されている方にとっては大いに気になるところですよね。
そこで、今回は不動産屋として独立した場合の年収、さらには年収を伸ばすために知っておきたいことなどについて簡単に紹介していきたいと思います。
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独立した場合の年収は、実際いくらぐらいなのか?
独立している不動産屋の年収そのものについて公表しているデータが見当たらないので、売上から年収を予測しますね。
公益財団法人不動産流通推進センターの公表している資料によると平成30年度の不動産業の売上高は資本金1000万円未満の区分で909万5620円とされています。
この売上高から推測すると不動産屋さんとして個人もしくは一人社長レベルで独立している方の平均年収は600万円前後になるものと考えられます。
意外と低い感じがしますね。
おそらく宅建業の免許を挙げているものの、実際にはほとんど不動産屋として営業をしていない業者も多く含まれているためでしょう。
まともに営業している不動産屋だけで考えれば、200万円程度、上乗せした800万円あたりが平均年収になるのではないでしょうか。
予測のレベルの話で申し訳ありません。
不動産屋の年収を左右する5つの要因とは?
上で示した年収はあくまで平均年収で、実際の年収は不動産屋ごとに大きく変わってきます。
不動産屋の年収を大きく変える要因としては、大きく以下の5つの要因を挙げることができます。
ビジネスモデル
ものすごくざっくりと言うと
- 自ら売主になるのか(仕入れた不動産を販売するということ)
- 他人の不動産の売買取引の仲介や代理をするのか
- 他人の不動産の賃貸取引の仲介や代理をするのか
ということです。
他の諸条件を一切、考えずに言うと稼ぎやすい方から順番に
- 自ら売主
- 売買取引の仲介や代理
- 賃貸取引の仲介や代理
となります。
ただし、ビジネスをはじめるハードルの高さの順番も、この順番通りになりますので、ご自身の資金力や知識のレベルに応じて、どのビジネスモデルを選択するのかを検討する必要があります。
営業する場所
ものすごくざっくりと言うと「営業する場所が都会か田舎か」ということです。
都会は強い競合が多いですが、取引需要も多く、また、仲介手数料の算定基礎となる不動産の売買価格や賃料も高額であるため、かなり稼ぎやすい傾向にあります。
強い競合の影響はターゲットや提供サービスを絞りこむなどして専門化すれば、ある程度、かわすことができますので、都会か田舎かで迷ったら、原則として都会を選択されることをおすすめします。
集客への取り組み
集客への取り組み姿勢も年収を大きく左右する要因です。
競合他社と明確な差別化をし、設定したターゲットに自社を選んでもらうために、どんな集客媒体で、どんなメッセージを伝えればいいのかを真剣に考え、その方法を積極的に実践している不動産屋は例外なく儲かっています。
儲からない、儲からないと嘆いてばかりいる不動産屋は集客のための努力を何もしていないか、あるいは、見当違いの努力をしているかのどちらかです。
年収を伸ばしたいのなら正しくかつ積極的に集客活動に取り組む必要があります。
人脈の有無
ここにいう人脈というのは不動産業界内での人脈ではなく、お客さんになりうる人、あるいは、お客さんになりうる人を紹介してくれる人の人脈ということになります。
お客さんになりうる人、あるいは、お客さんになりうる人を紹介してくれる人の人脈があると集客にあまり困らないため、独立当初からスムーズに収入を伸ばしていくことができます。
逆にこういった人脈がないと、ゼロから集客活動を行っていく必要があるので、収入が安定するまで、ある程度の期間が必要になってきます。
ちなみに不動産業界内での人脈は収入の伸びにそれほど影響がありません。
今はレインズがあるため不動産業界内での人脈なんてなくてもお客さんに紹介する物件には事欠かないからです。
ですので、どうせ人脈を広げるなら不動産業界に人の集まりより、不動産業界の人以外が多く集まるイベントや会合等に参加されることを強くおすすめします。
※レインズ
宅建業者が売却・賃貸の媒介依頼を受けた際にその物件情報を他の宅建業者と共有するべく物件情報の登録を義務付けられる物件情報システムのこと。
営業力
これは説明不要でしょう。
要するにお客さんとしっかりとした信頼関係を築き、クロージングへと導くことができる能力です。
よく世間では営業向きとか営業向きでないとかいう言い方がされますが、私の過去の指導経験上、そんなものは存在しません。
正しい訓練さえすれば、誰もが一定以上の営業成績を残せるようになります。
現状、思ったように成果が出でいない方は、営業の正しい方法を知り、それを実際の営業活動の中で実践できるよう、しっかりと訓練して下さい。
不動産屋の主な収入源
不動産屋として独立し年収を伸ばしていくためには、その前提として売上を伸ばしていく必要があります。
不動産屋の売上を構成する主な収入源としては以下の4つを挙げることができます。
仲介手数料
不動産の賃貸借契約や売買契約を仲介(媒介)した際に依頼者から受け取ることができる報酬のことです。
(賃貸借契約や売買契約の代理をした際にも手数料を受け取ることができます。)
たとえば売買価格3000万円の物件の売買契約を売主、買主双方から依頼を受けて1社で仲介した際に受け取ることができる仲介手数料は
(3000万円×3%+6万)×2=192万円(消費税別)
となります。
※2を掛けるのは売主、買主双方から仲介手数料を受け取ることができるからです。
売却益
自ら不動産を仕入れ、それを売却した際に生じる売却益のことです。
売却益を得るパターンとしては
- 土地を仕入れ、建物を建てて販売する(建売り)
- 土地を仕入れ、建築条件付きで販売する
- 土地、中古戸建、中古マンション等を仕入れ、そのまま転売する
- 中古戸建、中古マンションを仕入れ、リフォームして転売する
といったものがあります。
管理手数料
賃貸物件の管理の対価として受け取る手数料のことです。
管理手数料は、通常、賃料の3%~7%程度に設定されるため、仲介手数料や売却益ほど大きな金額にはなりませんが、毎月、定期的に入ってくるものなので収入の安定には、少なからず、貢献してくれます。
※賃貸物件の管理業務は宅建業の免許がなくても行える業務です。
宅地建物取引業法上の「業」には該当しないからです。
ただし、賃貸借契約の媒介を行うには宅建業の免許が必要となります。
各種手数料
不動産取引に付随する各種サービスの提供や他の事業者への紹介料などのことです。
具体的には以下のようなものがあります。
- 火災保険、地震保険、家財保険などの代理店手数料
- 住宅ローンのあっせんや紹介に関する手数料
- リフォーム業者や引っ越し業者からの紹介手数料
特に売買取引の場合、各種手数料だけで50万円以上、収入を上積みできることも珍しくありません。
ほんのわずかな手間で収入を上積みすることができますので、しっかりとお客さんに提案するようにして下さい。
収入が安定するのに独立後何年くらいかかる?
結論から言いますと不動産屋として独立して5年というのが一つの目安になります。
一般のお客さんを集客する仕組み自体は半年もあれば、完成させることが十分、可能です。
独立前から集客戦略の策定やそれに合った集客ツール等の準備に着手していれば独立後、1ヶ月や2ヶ月で最初のお客さんを獲得することだってできるでしょう。
ただ集客における、もう一つの重要な要素である「既存客からの紹介」が安定的に発生するようになるには、どうしても独立後、ある程度の期間が必要になってきます。
その点を考慮すると年収がある程度、安定するのに3年、完全に安定するのに5年ぐらいはかかると考えるべきでしょう。
なお、ここで申し上げているのはあくまで収入が安定するのに必要な期間であることに注意して下さい。
単に食べていくことができるだけの収入が得られるようになるだけでいいのなら、半年もあれば十分、可能です。
集客の仕組みを完成させて、それをしっかりと稼働させることが前提にはなりますが。
年収アップに貢献してくれる資格とは?
取得した資格が不動産屋としての独立後の年収アップに貢献してくれるかどうかは、その資格を持っていることによってお客さんから見た信頼度がアップするかどうかにかかっています。
その点を踏まえて独立後の年収アップに貢献してくれる資格と言えるものには次のようなものがあります。
宅建
不動産屋として独立する前提となる資格ではありますが、一応、挙げておきます。
時々、事務員さんだけが宅建を持っている不動産屋さんを見かけますが、やはり、お客さんの側から見た信頼度は、決して高くはならないでしょう。
うちのクライアントの中にも自分は宅建を持っていない社長さんで年収3000万円以上という方もいらっしゃいますので、高収入のための必須条件とまでは言いませんが、ある方が年収が伸びやすいことは間違いありません。
建築士
建築士は建物、特に戸建の購入を検討されているお客さんへのアピール度が非常に高い資格です。
建物のプロとして様々なアドバイスを行えることをアピールすれば、集客を行う上で強力な武器になることは間違いありません。
※建築士は受験資格の制限がかなり厳しく、高校や大学等で建築関連のことを学んだことがない方は、ほとんど受験資格がありません。
取得を検討したい方は「建築士 受験資格」などと検索してみて下さい。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーの資格があると不動産購入時の資金計画について総合的な視点からアドバイスすることができるため、お客さんに頼られやすくなります。
単に不動産を買わせるためだけでなく、長い目で見てお客さんにとってプラスになるようなアドバイスができれば、お客さんから非常に厚い信頼を得られることになります。
必然的に新しいお客さんの紹介なども得やすくなることでしょう。
※ファイナンシャルプランナーには国家資格であるFP技能士制度と民間資格であるAFP・CFP制度がありますが、どちらの制度で資格取得されても構いません。
資格の更新に費用と手間を掛けたくない場合にはFP技能士制度の方をおすすめします。
不動産関連の資格としては上記以外にも宅建の上位資格である不動産コンサルティングマスターや資金計画の中でも特に住宅ローン利用に特化した住宅ローンアドバイザーなどがありますが、いずれも認知度等に問題があり、年収アップ効果は薄いものと考えます。
無駄とまでは言いませんが、宅建、建築士、ファイナンシャルプランナーの3つの資格と比べると優先度は、かなり劣りますので、実益というより、さらに見識を深めたい場合に取得を検討して頂ければ結構です。
まとめ
1.個人もしくは一人社長レベルで不動産屋として独立している方の平均年収は600万円前後(しっかり営業されている方は800万円前後)と予測される。
2.不動産屋の年収を左右する主な要因はビジネスモデル、営業する場所、集客への取り組み、人脈の有無、営業力の5つ。
3.不動産屋の主な収入源は仲介手数料、売却益、管理手数料、各種手数料の4つ。
4.独立後、収入が安定するのに必要な期間は5年程度。
ただし食べて行ける程度になるだけなら半年もあれば十分、可能。
5.不動産屋として独立した場合に年収アップに貢献してくれる資格としては宅建・建築士・ファイナンシャルプランナーの3つを挙げることができる。