こんにちは松村です。
宅建試験の合格発表が終わった直後のこの時期に受験生の方からよくいただくご相談の一つに「かなり頑張ったつもりなんですけど、また、ダメでした。正直、宅建に受かる気がしないです。もう、あきらめた方がいいんですかね」といった内容のものがあります。
もの、すごく気持ちはわかります。
全然、頑張っていないのならまだしも、本人的には頑張ったつもりなのに思うように結果が出ないと勉強を続けるのが本当に嫌になってしまいますよね。
しかし、だからといって、ここであきらめしてしまうのはあまりにもったいない。
これまで宅建資格を取得するためにつぎ込んできてた時間も労力もお金も全てが無駄になってしまうわけですから。
そこで今回は宅建に受かる気がしないと不安を感じている方に向けて次の宅建試験に合格するためのアドバイスをお伝えしたいと思います。
宅建試験は正しい方法で勉強すれば能力に関係なく誰もが合格できる試験です。
にもかかわらず、いつまでたっても思うような結果が得られないというのは、単に試験対策について何らかの間違いを犯しているからに過ぎません。
その何かしらの間違いを特定し、正すことができれば次の試験こそきっと、合格できるはずですので、挫折しそうになっている方は、再び、やる気を取り戻すためにも是非とも最後までご覧になってください。
大丈夫、正しい方法で挑めば誰でも宅建試験に合格することができますので。
宅建は誰もが合格できる試験
まず、最初にあらためて確認しておきたいのが上でも触れたとおり
宅建試験は正しい方法で勉強すれば能力に関係なく本当に誰もが合格できる試験であるということです。
いや、さすがに誰もがというのは言い過ぎかもしれませんが私の過去の指導経験に照らし合わせて考える限り
・日本語を母国語とし
・中学校を無事、卒業できるぐらいの基礎学力があれば
十分、合格できるものと考えます。
実際、私の講座の過去の受講生の中には
・九九がまともに言えないとか
・小学校低学年で習う漢字ぐらいまでしか読めないとか
いった基礎学力のレベルで宅建試験に無事、合格されている方が何人かいますので。
もちろん、あなたの基礎学力のレベルはそれよりは上ですよね?
だから現段階で宅建に受かる気がしないと感じている方もどうか安心して勉強して欲しいのです。
あなたが宅建試験に合格する上での障害となっている問題を特定し、それを解消した上で、しっかりと正しい努力をして頂ければ必ず次回の宅建試験には合格することができるはずですので。
誰だって合格できるというのは本当だと思う。僕も三流高校出身だけど、ちゃんと合格してるからね。
頑張っているのに宅建に合格できない理由とは?
本人的には頑張っているつもりなのに、なかなか宅建試験に合格することができない理由としては以下のようなものが考えられます。
- 勉強の範囲を広げ過ぎている
- テキスト中心の勉強をしている
- 実力がついたものと勘違いしている
- 勉強時間が足りていない
- 勉強時間の配分が悪い
- 勉強の回転速度が遅い
- 勉強の質が低い
- 読解力がなさすぎる
- 本番に弱い
- 問題を解くのが遅い
- 宅建の難易度を見誤っている
以下、それぞれの内容とその対策について簡単に解説していきます。
1.勉強の範囲を広げ過ぎている
宅建試験は基本的にテキストと過去問だけで十分、合格できる試験です。
それにもかかわらず、予想問題集や直前まとめ集みたいな余計なものにまで手を出し、消化不良におちいり、結果、不合格になってしまっているということですね。
このサイトでも既に何度となくお伝えしてきていることですが、宅建試験合格に必要なのはたくさんのあやふやな知識ではありません。
解答するのに役立つ、少なくとも確かな知識です。
この点だけは絶対に絶対に忘れないようにして下さい。
対策としては単純にテキストと過去問以外のものには一切、手を出さないようにすることです。
あとは試験の直前期にインターネットで法改正情報とその年度の不動産に関する統計の情報を確認するようにすれば合格するのに必要十分な情報を得ることができます。
テキストについては情報量の少ない薄めのものを過去問については概ね、過去7年分~10年分ぐらいの問題を収録している分野別編集の過去問を選ぶようにして下さい。
2.テキスト中心の勉強をしている
宅建試験対策の中心となるのはテキストではなく、あくまで過去問です。
知識があるということと、その知識を使って問題を解くことができるというのは別次元のことで、知識を使って問題を解くことができるようになるためには、どうしても過去問を中心とした勉強を行う必要があるからです。
にもかかわらずテキストを勉強の中心とし、過去問での勉強はほんの数回、解くだけで終わりにしてしまう受験生が散見されます。
これでは、どれほど努力しても本試験で思うような成果が出ないのはある意味、当然のことです。
対策としては過去問を勉強の中心に据えることです。
テキストでの勉強は過去問での勉強を開始するための下準備ぐらいに考え、なるべく早く過去問での勉強に入り、それを完全にマスターすることを目指して下さい。
そうすれば自ずと結果は出ます。
最低限、テキストでの勉強時間<過去問での勉強時間となるように勉強時間の配分を決めて下さい。勉強慣れしている人であればテキストでの勉強時間と過去問での勉強時間の比率が2:8ぐらいでもいいぐらいです。
3.実力がついたものと勘違いしている
宅建試験における過去問学習の重要性は理解しているものの、その学習において目指すべきゴールが間違っているため、いつまでたっても合格できないということです。
過去問学習で目指すべきゴールは単に全ての問題について正解できるようになることではありません。
問題ではなく、その問題を構成する全ての選択肢について正誤判断ができるようなり、さらにその正誤判断の根拠を端的に指摘できるようになることです。
そこまで、できなければ過去問を完全にマスターできた=宅建試験に合格できるだけの実力が身についたとは言えないからです。
対策としては過去問の勉強をする際に常に選択肢単位で正誤判断をし、さらに、その根拠の指摘を行えることを確認することです。
そして正誤判断の根拠の指摘ができなかった選択肢については解説を徹底的に読み込み、ちゃんと根拠の指摘ができるようになって下さい。
決して解きっぱなしにしないこと。
単に正誤判断をするだけでは現状の実力をチェックすることができるだけで、実力の向上には全くつながらないのですから。
解きっぱなしの過去問学習はほとんど意味がないと考えて下さい。
4.勉強時間が足りていない
本人的には努力しているものの、仕事等が忙しすぎて宅建試験に合格するのに必要十分な勉強時間が確保できていないということです。
現在の宅建試験はかなり難しくなっており、本試験で勝負ができるレベルに達するだけでも300時間程度の勉強時間が必要になります。
さらにより確実に合格ラインを越えられるだけの実力を身につけようとするのであれば400時間~500時間は勉強時間を確保する必要があるでしょう。
要するにある程度の塊の勉強時間を作ることができなければ、本人的に努力しているかどうかに関係なく、そもそも合格に届きようがないのです。
対策としてはスキマ時間の活用を徹底的に行うことになります。
一口にスキマ時間の活用と言っても色んなアイデアが考えられると思いますが、私が個人的におすすめしたいのが、耳を使ってインプットする方法です。
たとえば過去問の問題と解説を一問一答式で全て録音し、それを徒歩や車での移動時間にずっと聞きっぱなしにしたりするわけですね。
そうすれば勉強時間を比較的簡単に増やすことができます。
もちろん、勉強の質自体は机に向かってやる勉強に比べて落ちてしまうかもしれませんが、やらないよりはよほどマシなはずです。
勉強時間の絶対量をどうにかして増やしたい方は是非とも取り入れてみて下さい。
耳を使ってインプットする方法は僕も実践してみたけど、かなり効果があったよ。合う、合わないのある方法かもしれないけど、合う人にとっては、ものすごく成果の出る方法だから是非、試してみて。
5.勉強時間の配分が悪い
宅建試験の出題範囲には様々な法律科目が含まれますが、法律科目ごとの試験対策のやり易さというのは大きく異なります。
たとえば宅建業法19問について9割以上の正解を目指そうと思えば100時間も勉強すれば十分でしょうが、民法10問について9割以上の正解目指そうと思えば倍の200時間は勉強時間が必要となるはずです。
こういった事情を無視して出題数で案分して勉強時間を割り振ったり、まして一生懸命に勉強しても得点できる見込みの薄い、法律科目に多くの勉強時間を注ぎ込んでいるようでは、なかなか合格できないのも当然のことですよね。
対策としては、少ない勉強時間でも正解しやすい法律科目、要するに得点効率の良い法律科目を知り、そこに重きを置いた学習計画・得点計画を立てることです。
これができれば、宅建試験合格のハードルはかなり下がるはずですので。
以下、参考までに私が得点効率がいいと考える法律科目を紹介しておきます。
宅建業法(19問)・住宅瑕疵担保履行法(1問)・住宅金融支援機構法(1問)・不当景品類および不当表示防止法(1問)・不動産に関する統計(1問)土地に関する知識(1問)建物に関する知識(1問)・農地法、国土利用計画法、宅地造成等規制法、土地区画整理法、その他(4問、ただし土地区画整理法は論点が多く、やや得点効率が下がる)
仮に上記の法律科目の問題全てについて正解することができれば、それだけで29点はとれることになります。ということは残り21問で7問から8問程度正解することができれば大体、合格ラインに届くということですね。このことを知るだけでも少し合格できそうな気がしてきたのでは?
6.勉強の回転速度が遅い
勉強の回転速度が遅いがために知識が定着せず、なかなか実力がアップしないということです。
たとえば
・1回目、1か月間で過去問を読み通した場合と
・1回目、1週間で過去問を読み通した場合
を比べて、2回目、過去問を読む際に1回目に学んだことをより多く覚えているのはどちらの場合でしょうか?
当然、1回目、1週間で過去問を読み通した場合ですよね。
人間の記憶は時間が経過すれば経過するほど、失われていくものだからです。
この問題の対策としては、なにしろ勉強の回転速度を速くすることを意識することです。
時々テキストや過去問の内容を一度で覚えようとして呪文のように何度も唱えるといった勉強をしている人を見かけますが、これが原因で勉強の回転速度が遅くなりすぎては元も子もありません。
効率的に記憶するためには「覚える」こと以上に頻繁に「思い出す」ことが重要になるからです。
この点を重視し、なるべく早い時期に思い出すための機会を持つことができるよう、勉強の回転速度を速くすることをしっかりと意識して下さい。
合言葉は「忘れる前に思い出す」です。心掛けて下さい。
7.勉強の質が低い
勉強時間の量は確保できているものの、勉強の質が低すぎて、宅建試験に合格できる学力レベルに達することができていないということです。
勉強の質が低くなってしまっている理由としては以下のような理由が考えられます。
- ムリをしすぎて勉強の質が下がっている
- 心配事などがあり、勉強に集中できない
- ながら勉強をしている
原因1の対策としてはムリをやめることです。
十分な睡眠時間をとった上で行う1時間の勉強と眠い目をこすりながら行う3時間の勉強では往々にして前者の方がよほど勉強の効率が良かったりしますので。
原因2の対策としてはまずは心配事を解消することを優先することです。
もちろん、そのためには時間と労力を使う必要があると思いますが、心配事を抱えたままでする勉強なんて、どうせ大して成果はあがりませんので。
原因3の対策としてはなにしろ、ながら勉強をやめることです。
宅建試験は合格率15%~18%という競争試験であることを自覚し、その競争の中で勝ち残るにふさわしい全集中の努力をするようにして下さい。
たしかに集中できない状態で行う勉強は大して成果が上がらないものね。
8.読解力がなさすぎる
読解力がなさすぎて、本試験で初めて見る問題の意図するところを把握することできず、スムーズに解答することができない。
その結果、あえなく不合格になってしまうということです。
今は子供ばかりか大人までが情報の取得をYoutube等の動画メディアに頼る時代。
複雑な文章を読み解く力が低下するのはある意味、仕方のないことかもしれません。
しかし、この問題を放置したままでは当然、宅建試験に合格することができるはずがありませんので、何らかの対策を講じる必要があります。
具体的には普段から文章を読む量を増やすことです。
もちろん、読むのはテキストや過去問でも構いません。
「えっ、そんな単純なことで?」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、文章を読む量が増えれば、読解力は自ずとアップしますので。
毎日ランニングすることを習慣にしていると、少しづつでも体力がアップしていくのと同じ理屈です。
是非、読解力を鍛えるという意識を持って文章を読む量を増やすことを心掛けて頂ければと思います。
読解力不足のまま宅建試験に合格することは、ほぼ不可能です。読解力不足を自覚されている方は日々、読解力の研鑽に努めて下さい。
9.本番に弱い
合格できるだけの実力はあるのだけれど、本番になると緊張してしまって、その実力を発揮しれきれないということです。
私が過去に講座等で指導した受験生の中にも何人か、こういう方がいらっしゃいました。
まあ、宅建試験は年に一度きりの試験ですので、つい気負い過ぎて、こういうことになってしまうのかもしれません。
この点に関する対策としては、とにかく場慣れすることでしょう。
まずは模試を何度か受けて試験の際の独特の空気感に慣れるように努力する。
さらに、自分が受験することになる試験会場が決まっていて、そこが大きな大学の講堂などの一般の人であっても比較的、出入りしやすい場所なのであれば、実際に行ってみて、その場で少しばかり時間を過ごしてみるというのも効果的な方法かと思います。
10.問題を解くのが遅い
実力的にはそれなりのレベルに達しているはずなのに本試験で問題を解いたりするのが遅いがために、途中からあせって解答が雑になったり、場合によっては解答しきれずにタイムアップになったりして不合格なっているということです。
この点に関する対策としては以下のようなものがあります。
- 知識をより明確にすることによって解答時の判断を速くする
- マークをまとめて行う
1.は選択肢ごとの正誤判断を行うのに必要な知識をより確かなものにすることによって解答する際に迷うことなく判断できるようにするということです。
迷うことがなければ当然、解答に必要な時間は短くなりますので。
2.は解答する際のマークシートへの記入をなるべくまとめて行うことによって解答に必要な時間を短縮するということです。
マークシートへの記入をまとめて行えば、一つ問題を解くたびにマークする個所を探して記入するということを繰り返す場合に比べて1問あたり5~6秒、全50問で250秒~300秒ぐらいは解答時間を短縮できる上に、マークミスも起こりにくくなりますので是非とも実践して下さい。
知識をより明確にすることのもう一つのメリットは「知らないことを問う選択肢についてはすぐに知らない」と判断できることです。つまり知らないことを問う選択肢について、あれこれと悩んでタイムロスすることが、減るんですね。
11.宅建の難易度を見誤っている
そもそも、宅建試験の難易度を見誤っているがために合格に必要なだけの努力をできていないということです。
宅建試験についてはネット上なので、ことさらに簡単な試験であるかのような書き込みをする人がいますが、そういう話を鵜呑みにしてはいけません。
上でも触れたとおり、宅建試験は合格率15%~18%という、受験生6人から7人に1人しか合格しないような試験なのです。
そんな試験が少しばかり勉強するだけで合格できるような簡単な試験であるはずがありませんよね。
この点に関する対策としては宅建試験の難易度を正しく把握することです。
よりわかりやすくするために中学校のクラスに例えてみましょう。
クラスの生徒の数は40人だとします。
このうち成績で下から10番目ぐらいまでの人はまず宅建試験なんて受験することはないでしょう。
勉強が苦手、あるいは嫌いな人たちは、学校を卒業してまで、小難しい法律について問われる試験など、受けようとは思わないはずだからです。
このことから宅建試験を受ける層はクラスの上位30番目ぐらいまでであると仮定します。
その上位30人の中でさらに上位15%~18%ということになると大体、上位5番目ぐらいまでの成績ということになりますね。
つまり宅建試験は中学校の40人クラスでたとえると上位5番目ぐらいまでの成績をとらないと合格できない難易度の試験であるということです。
上位5番目ぐらいまでというと結構な秀才たちのはず。
あなたの中学生時代のクラスで考えても一目置かれるような秀才たちだったのではないでしょうか。
そこに割って入ることができなければ宅建試験には合格することができないのです。
そういう難易度の試験に挑戦しているのだという自覚を持って、それでもなお、合格に届くだけの努力をするようにして下さい。
こうして考えると宅建試験ってかなり難しい試験なんだなあ。僕なんかが、よく合格できたなと思うよ。
まとめ
- 宅建試験は正しい方法で勉強すれば誰もが合格できる試験である。
したがって現時点で宅建に受かる気がしないと感じている方であっても合格する上での障害となっている問題を特定し、それを解消した上で、正しい努力をすれば次回の宅建試験には合格することができるはずである。 - 頑張っているのに宅建試験になかなか合格できない理由とその理由を解消するための対策としては次のようなものがある。
- 勉強の範囲を広げ過ぎている
対策:テキストと過去問以外のものには一切、手を出さないようにする - テキスト中心の勉強をしている
対策:過去問を勉強の中心に据える - 実力がついたものと勘違いしている
対策:過去問の勉強をする際に常に選択肢単位で正誤判断をし、さらに、その根拠の指摘を行えることを確認する - 勉強時間が足りていない
対策:スキマ時間の活用を徹底的に行う - 勉強時間の配分が悪い
対策:得点効率の良い法律科目を知り、そこに重きを置いた学習計画・得点計画を立てる - 勉強の回転速度が遅い
対策:勉強の回転速度を速くすることを意識する - 勉強の質が低い
対策:ムリをしない、心配事を解消することを優先する、ながら勉強をやめる - 読解力がなさすぎる
対策:普段から文章を読む量を増やす - 本番に弱い
対策:模試を受ける、実際の試験会場に行ってみるなどして、とにかく場慣れする - 問題を解くのが遅い
対策:知識をより明確にすることによって解答時の判断を速くする、マークをまとめて行う - 宅建の難易度を見誤っている
対策:宅建試験の難易度を正しく把握する
- 勉強の範囲を広げ過ぎている
繰り返しになりますが宅建試験は正しい方法で努力をすれば誰もが合格できる試験です。
なかなか合格できないとすれば、それは能力の問題などではなく、試験対策に関して何かが間違っているからに過ぎません。
その典型的な間違いのパターンとそれを解消するための対策についてはこの記事である程度はお伝えできたもつもりです。
是非、ご自身の試験対策における間違いを特定し、それを紹介した対策法によって確実に解消して下さい。
それができれば「受かる気がしない」などという不安もすっかりと晴れ、次の宅建試験にはきっと合格できるはずですので。
以上、今回は「宅建に受かる気がしない人へのアドバイス」をお送り致しました。
宅建試験の勉強方法について、さらに体系的に理解したいという方は是非、以下の記事をご一読下さい。きっとお役に立てるはずです。