こんにちは松村です。
本日は「宅建合格は頭いいの?」というテーマでお送りさせて頂きます。
これ、私が元宅建講師ということもあって、昔からよくお受けしてきたご質問なのですが、毎回、結論部分は揺るがないものの、根拠の部分についてはその場の思い付きでフワッとした回答をしてしまうことが多かったんですよね。
そこで今回、特に根拠の部分について明確に整理してお伝えしておこうと思った次第です。
特に宅建試験を受けるかどうかを検討されている方にとっては、検討材料の一つとして有用な内容になると思いますので、是非とも最後までお付き合い下さいね。
少なくとも僕は頭いいと思っているけど、結構、誰でもとれる的なことを言っている人も多いですよね。どっちなんだろう。
宅建合格は頭いいの?それとも?
まずは結論から。
宅建合格は頭いいです。
いや、もちろん「むちゃくちゃに頭がいい」などと言う気はありません。
でも二元論的に「頭いいの?それともバカでもサクッと合格できるくらい簡単なの?」と問われたら、私は自信をもって「宅建合格は頭いいよ」と申し上げます。
事実として、宅建試験は、そこそこの学歴の人が、そこそこは勉強したのに普通に落ちたりしますので。
そういう試験に合格した以上、やっぱり一般論としては「頭がいい」と言っていいと思います。
頭いい人=生まれつきの能力が高い人じゃない
なお、こういうことを申し上げると宅建は生まれつき頭のいい人じゃないと合格できないものだと思い込んで受験すること自体をあきらめてしまう人がいるかもしれませんが、そういう早とちりはされませんように。
そもそもの話として頭のいい人というのは単に先天的に理解力や記憶力が優れているだけの人のことを言うのではありません。
- 自分が先天的に与えられた理解力や記憶力を正しい方法で活用できる
- 目標達成に必要なだけ努力を継続できる
この2つの項目まで含めて頭がいいかどうかはジャッジされるべきものなのです。
事実として先天的な理解力や記憶力は人並みなのに
- 自分が先天的に与えられた理解力や記憶力を正しい方法で活用できる
- 目標達成に必要なだけ努力を継続できる
という部分が非常に優れていたため東大や京大に合格したという人を私は何人も知っていますので。
だから、間違っても「私は生まれつき頭が悪いから」みたいな言い訳をして宅建受験をあきらめたりしないで下さいね。
正しい努力ができれば、あなたも間違いなく、世間一般で言うところの「頭のいい人」になれますので。
もちろん宅建試験にだって問題なく合格できるはずです。
先天的な理解力や記憶力が優れていたとしても、それを使いこなす能力がなければ、試験に合格するなどといった結果を出しようがないわけですから、頭がいいとは言えないですよね。宝の持ち腐れ状態に陥っている時点で決して頭がいいとは言えないと思ってしまいます。
宅建合格が頭いいと言える根拠
ここでは宅建に合格すれば頭がいいと言える根拠を紹介しておきたいと思います。
主な根拠としては以下のようなものがあります。
- 合格率が低い
- 幅広い法律科目をカバーする必要がある
- 法律文章を読み解ける国語力が必要
- まとまった勉強時間が必要
以下、各根拠について簡単に説明させてもらいますね。
1.合格率が低い
宅建試験の合格率は毎年15%~18%の間で推移しています。
要するに6人から7人に1人しか合格できない試験であるということですね。
この事実からでも宅建試験に合格すれば頭がいいと十分、言えると思います。
2.幅広い法律科目をカバーする必要がある
宅建試験の出題対象となる法律科目としては以下のようなものがあります。
- 民法
- 区分所有法
- 借地借家法
- 不動産登記法
- 宅地建物取引業法
- 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律
- 都市計画法
- 建築基準法
- 農地法
- 土地区画整理法
- 宅地造成等規制法
- 国土利用計画法
- その他法令上の制限
- 所得税法
- 固定資産税法
- 不動産取得税法
- 印紙税法
- 登録免許税法
- 住宅金融支援機構法
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 不動産に関する統計情報
- 土地に関する知識
- 建物に関する知識
法律科目の名称を全て覚えるだけでも大変そうですよね。
もちろん、これらの法律科目の全てについて深く学習する必要があるわけではありません。
法律科目によっては出題対象となりうる論点が20個くらいしかないものもあります。
とは言え、これだけの数の法律科目をバランスよく学習するようなことが頭の悪い人にできるでしょうか?
できるはずないですよね。
これが「宅建合格は頭がいい」と申し上げる理由の2つ目です。
法律文章を読み解ける国語力が必要
宅建試験は法律の知識を問う試験ですから問題文は必然的に専門用語を用いた難解な言い回しが用いられることが多いです。
つまり、問題に正解するためには、その前提として、難解な言い回しが多用される問題文が意味するところを正確に把握できるだけの国語力が必要になるということです。
活字離れのこの時代に、それだけの国語力があれば、そのことだけをもって十分、頭がいいと判断できることと思います。
これが「宅建合格は頭がいい」と申し上げる理由の3つ目です。
たしかに宅建試験の問題文は内容を理解するだけでも大変だもんなあ。それができるだけでも、まあ頭がいい方って言えるのかもしれない。
まとまった勉強時間が必要
宅建試験合格には一般的に300時間程度の勉強時間が必要とされています。
しかし、これはあくまで真っすぐに一直線で合格に突き進むような勉強ができた場合の話。
実際には多くの合格者が、少なからず遠回りするような勉強をしているはずなので400時間から500時間は勉強していることと思います。
仮に合格に必要な勉強時間が400時間だとすれば、1日2時間ずつ勉強したとしても必要な準備期間は200日。
学生ならともかく、タフに仕事をこなす会社員などが、限られたプライベートな時間をやりくりして、これだけの努力を継続できるのだとしたら、その理性の高さは間違いなく「頭がいい」と評することができると思います。
宅建合格が簡単なことのように言われるのはなぜ?
ではなぜ、これほど難しい宅建試験が「合格したところで頭がいいと言えるのか?」などと疑われるほど、軽く、見られてしまうことになっているのでしょうか。
その主な理由としては以下のようなことを挙げることができると思います。
- 昔、本当に簡単だった
- 法律系資格の中では入門編的資格
- 名称的に難しそうに思えない
- 合格自慢したがる人がいる
以下、それぞれの理由について簡単に説明しておきたいと思います。
1.昔、本当に簡単だった
宅建試験は大昔、本当に簡単な試験でした。
特に試験が開始された当初の3年間の合格率は1958年、93%、1959年、98.2%、1960年、83.1%と落ちる人の方が圧倒的に少ないくらいの試験だったんですね。
その頃のイメージが強すぎて、いまだに宅建試験は簡単な試験であると思い込んでいる人がいらっしゃるということです。
2.法律系資格の中では入門編的資格
宅建試験は法律系国家資格の中では入門編的な資格として位置づけられています。
そのため、割と簡単に合格できる試験のように思われてしまっているということです。
実際には他の法律系国家資格のレベルが高すぎるだけなんですけどね。
今は法律系国家資格の中にも宅建より、もう少し簡単な管理業務主任者試験もあるのですが、宅建に比べるとかなり知名度が低い。そのため、今でも法律系国家資格の入門編的資格と言えば宅建ということになってしまうわけです。
3.名称的に難しそうに思えない
「たっけん」という言葉の響き自体が到底、難しそうには感じられないということです。
この点については業界関係者も認識していたからこそ「宅地建物取引主任者」から「宅地建物取引士」へと名称変更されたのでしょうが、やっぱり短く言えば「たっけん」ですよね。
「たっけんし」ってちょっと言いにくいですし。
いずれにしも「たっけん」という呼び方が主流であるかぎりは、世間一般からの難易度に関する正当な評価を受けることはちょっと難しそうな気がします。
「不動産取引士」にできれば良かったのでしょうが、そこは不動産鑑定士さんたちからの反対があったのでしょうね。やや悔いの残る名称変更です。
4.合格自慢したがる人がいる
自分の優秀さをアピールしたいがために、わざわざネット上などで
「宅建試験なんて簡単。楽勝だったよ。」
などと書く人がいて、それを真に受けた人たちが「宅建は簡単なんだ」と思い込んでしまうということですね。
「ああ、合格したのがよっぽど、うれしかったんだなあ」とでも思って、流しましょう。
とにかく真に受けないことです。
頭のいい宅建勉強法、そのポイントとは?
私の思うところの効率のいい宅建試験勉強法、別の言い方をすれば頭のいい宅建試験の勉強法とは以下の3つのポイント押さえたものになります。
- 手を広げない
- メリハリをつける
- 直前期に勉強時間を確保
以下、各ポイントについて簡単に解説していきますね。
1.手を広げない
要するに学習範囲をムダに広げないということです。
宅建試験合格に必要なのは、たくさんのあやふやな知識ではなく、少なくとも確実な知識だからです。
具体的には
- 薄めのテキストと
- 分野別編集の過去問
の2つを用意して、それらを習熟することだけに専念して下さい。
途中、不安になることがあるかもしれませんが、上記の教材以外のものには原則、手を出されませんように。
2.メリハリをつける
宅建試験は上記のように多くの法律科目を出題対象としながら、全50問中、宅建業法19問、民法10問と出題ボリュームに大きな偏りのある試験です。
また法律科目ごとに勉強すれば高い確率で得点に結びつくものと、勉強しても得点できるとは限らないものが分かれていて、そういった事情を踏まえたメリハリのある勉強をする必要があります。
宅建試験は難化傾向の著しい近年においても37~38点とれれば、まず合格できる試験です。
決して満点を狙ったりする必要はないのです。
その点を念頭に置き、ご自身にとって一番、効率的に合格ラインを突破できるメリハリの付け方を考えて下さい。
直前期に勉強時間を確保
勉強時間はなるべく試験直前期に多く確保できるようにしたいものです。
試験直前期に学んだ知識は、忘れることなく、そのまま、試験会場に持っていけることが多く、学習効率が高くなるからですね。
ぶっちゃけ、10月期の勉強時間、50時間は、7月期の勉強時間、100時間にも十二分に匹敵しうるものと思います。
そのあたりのこと考慮に入れ、なるべく9月、10月あたりにたくさんの勉強時間を確保することができるよう、工夫・努力をして下さい。
上記3つのポイントを押さえるだけでも勉強の効率はかなりよくなるはずです。是非とも実践して下さいね。なお、宅建試験の勉強方法についてよく詳しく、より体系的に勉強したいという方は以下の記事をご覧になって下さい。きっと少なからず、お役に立てることと思います。
まとめ
- 宅建合格は頭いいと言える
- 頭がいい人というのは単に先天的に理解力や記憶力が優れているだけの人のことを言うのではない。
それに加えて
・自分が先天的に与えられた理解力や記憶力を正しい方法で活用できる
・目標達成に必要なだけ努力を継続できる
という2つの条件をクリアしている人のことを言う。 - 宅建に合格すれば頭がいいと言える理由は以下のとおり。
・合格率が低い
・幅広い法律科目をカバーする必要がある
・法律文章を読み解ける国語力が必要
・まとまった勉強時間が必要 - 宅建合格が簡単なことのように言われる理由は以下のとおり。
・昔、本当に簡単だった
・法律系資格の中では入門編的資格
・名称的に難しそうに思えない
・合格自慢したがる人がいる - 頭のいい宅建勉強法のポイントは以下のとおり。
・手を広げない
・メリハリをつける
・直前期に勉強時間を確保
ちなみに私は宅建試験に合格する、合格しない以前に宅建という資格を選ぼうとしていること自体、頭のいい選択だと思っています。
宅建は取得のための労力の割に見返りが非常に大きいローコスト・ハイパフォーマンスの資格だからです。
取得しておけば、突然、会社が潰れるようなことがあっても、とりあえず不動産屋には再就職できると思いますので、すぐに利用する予定のない方も人生の保険的な意味合いで取得しておいても良いと思います。
以上、今回は「宅建合格は頭いいの?」というテーマでお送り致しました。